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かんとこうブログ

2022.08.15

日本の上場会社2022年度(2023年3月期)第1四半期決算内容(追補版)

 

8月10日までに日本の塗料メーカー上場企業の第1四半期決算が出そろいましたのでご紹介します。

世界的に増収減益傾向であることはこれまでご紹介した通りですが、日本企業の決算概要を以下に一覧表で示します。日本ペイントホールディングスについてはすでに紹介済なので今回の報告からは除外しています。

藤倉化成と神東塗料を除いて増収となりましたが、営業利益段階で中国塗料と神東塗料が赤字となり、菊水化学工業、アトミクス、イサム塗料を除いてそれ以外の会社は減益となりました。各社のセグメント情報からもいくらか情報を拾っていますが、需要分野に関しての定量的な情報はあまり見当たりませんでした。

売上、営業利益の前年同期比については以下の左のグラフをご覧ください。

営業利益については、減益は赤で増益は緑で棒の色付けをしています。なお、営業利益が赤字の2社については前年同期比を表示していません。

右のグラフは、今回の売上を2019年度と比較したものです。右のグラフの意味するところは「2022年度第1四半期は、コロナ以前の2019年度第1四半期に比べて収入はほぼ同等で減益であること」です。おそらく数量的にはコロナ禍前には戻っていないと思われますが、昨年来の製品価格の上昇により売上金額では上回ったということであると思われます。過去3年間と今年の比較については後の方で再度述べます。

今四半期の各社の位置取りをもう少しわかりやすくするために売上、営業利益の前年同期比のマトリックスで表示してみました。

こうしてマトリックスで整理するとわかりやすくなりますが、増収増益が4社、増収減益が6社、減収減益が2社となります。
最後に各社の通期売上予想を示します。


各社とも10%以内での増収を見込んでいるところが多い中で、中国塗料は微減、アサヒペンは20%以上の増収を見込んでいます。第1四半期の様相から推定すると、多くの会社ではこの予想売上を達成することが可能であるようにも思えます。

さて、2022年の第1四半期が、過去の3年間と比較してどうだったのか?本日発表になった経産省の6月度確報の数値を入れてグラフを作成してみました。

左から各月の出荷数量、各月の出荷金額、第1四半期通算の出荷数量、同じく出荷金額です。今年の数値を過去の3年間と比較すると、数量はほぼ昨年なみ、金額は昨年を上回り、2019年なみになっていると言えるでしょう。

上でみた上場企業の決算でも、全体として売り上げは昨年から増加して2019年とほぼ同じレベルとなっていました。経産省の統計でも同じ傾向でしたので、この状況は塗料製造業全体の状況でもあることが確認できました。しかし、数量については、実は昨年からも下回っており、2019年の89%であり、まだまだコロナ禍前にも戻っていません。売り上げが回復してきたのはひとえに原材料高騰によりやむなく値上げをお願いしてきたからにすぎません。第7波の早期収束と社会活動の全面的回復を祈ります。

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