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かんとこうブログ

2022.09.07

OECDの環境統計にみるG7+韓国の現況

OECDには実に多くの統計資料があります(下記URL)ので、時間のあるときには眺めています。今日はそうしたOECDの資料から最近話題になりがちな環境関連の統計資料のいつくかをご紹介したいと思います。ただ数値の紹介だけでは、その評価が難しいと思いますので、G7に韓国を加えた8か国での比較をしてみました。

以下にご紹介する数値は基本的に2020年の数値となっています。

https://www.oecd.org/tokyo/statistics/

最初はエネルギー関連の4項目です。


左から一次エネルギー供給、原油輸入価格、一次エネルギーに占める再生可能エネルギー%、原子力発電用反応容器の数です。一次エネルギーとは原油や石炭、天然ガスなどの加工していないエネルギーのことで、一番左のグラフで示されている単位は1ドルあたりのTOE(全体を石油相当量に換算した数値)です。このグラフはつまり一次エネルギーの調達コストを表しており、自国でのエネルギー資源が豊富な国は同じコストで多く供給してもらえることになり、事実アメリカ、カナダが同じコストでは他の国よりも多くの一次エネルギーを得ていることがわかります。左から2番目に原油コストはそのままで、原油の価格を表しています。この数値はUSドルですので、日本国内のコストを考える時にさらに為替要因を考慮する必要がありますが、ここではそれに触れません。

左から2番目は、一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合(%)です。日本の場合、発電に占める再生可能エネルギーの割合はもっと高く20%以上ありますが、発電だけではなく暖房や炊事などに使われるものも合わせると、再生可能エネルギーの割合はぐっと低くなるようです。

右端は原発の基数です。原発の基数そのものを環境の指数とすることには議論のあるところでしょうが、あくまで再生可能エネルギーではないという位置づけと思います。日本には38基の原発があると示されています。


次の4つのグラフは、左二つが発電量、さらに右へひとりあたりの二酸化炭素排出量、大気汚染(浮遊物量)です。一番左の発電量は国全体の総量なので、一人あたりに換算してその右に示しました。アメリカ、カナダの発電量(=電力使用量)が多いのですが、一人あたり発電量は住居や建造物の大きさや気候に影響されます。冬季の暖房、夏季の冷房に使用される電力の割合を調べてからでないと軽々に多寡を論じられません。

実は二酸化炭素排出量も電力と同様、気候の影響を考慮しないといけないのですが、電力とCO2排出量のグラフは大筋において似ています。たまたまこれらの国では、発電にしめる再生可能発電の割合が比較的低いため、発電量とCO2排出量が相関するものと思われます。

一番右の大気汚染については、さらに大気汚染による死亡者数(人口100万人あたり)という統計数字もあったのですが、大気汚染濃度と死亡者数はほぼ同じ傾向でしたので割愛しました。日本の大気汚染はもう過去の話と思っていましたが、世界で比べるとまだまだ改善していく必要があると思われます。

次の4つは、左から一人当たりのごみの量(Kg/年)、下水処理率、市街地化指数(一人当たりの建物の面積)、絶滅が危惧される哺乳類の種類です。このうち市街地化指数と絶滅危惧種については、直接環境を示す指数としてはどうかと思いましたが、参考までにグラフを載せました。

一番左のごみの量ですが、日本はG7+韓国に中で最小量であり、なおかつ20年以上にわたり連続して量を減らしている唯一の国でした。うがってみれば、自治体におけるごみ収集、処理費用が他の国よりも深刻な問題化しているためかもしれません。下水処理率はあらゆる排水管の中で下水処理設備に送られ適切に処理されている割合を示しています。日本はこれらの国の中で中程度です。都市部はともかく、人口密度の低い地域での下水処理が進んでいないのではないかと推定しています。

これらの中から①一次エネルギー中の再生エネルギー割合、②一人あたりの発電量、③一人あたり二酸化炭素排出量、④大気汚染濃度、⑤一人あたりのごみの量、⑥下水処理比率の6項目を選びそれぞれの項目に順位をつけて点数化しました。(下表)


ここでは点数が高い方が環境的にこのましい方向にあることを示しています。日本は8か国中6番目、最下位はアメリカでした。日本はゴミの量を除いて下位の項目が多く、まだまだヨーロッパには及んでいないと再認識されました。参考までに各国の点数をレーダーチャートにしてみました。面積が大きいほど点数が高いことをしめしています。


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