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かんとこうブログ

2023.08.04

トップ10メーカーはさらに売上を伸ばす・・Coatings World誌の2022年度売上ランキングその2

昨日は全体の様子をご紹介しました。今日はランク入りした企業の中で階層別の動向についてご紹介したいと思います。その前に今回のランキング入りした73社の売上が世界の総需要の売上のどのくらいを占めているのか気になるところです。このランキングがCoatings World誌の調査結果である限り、同誌の世界需要見積もりの数字がないと正確な推計はできないのですが、残念ながらそうした統計数字に思いあたりません。そこで、Orr&Bossの統計数値が昨年の「塗料・塗装最新動向セミナー」の資料に掲載されていましたのでそこから引用させてもらい作図してみました。まず世界の総需要に対するランク入り企業全社の売上比率の推移です。手元の資料から過去4年分しか作れませんでしたが、ランク入りした会社の総売上は世界の総売上のほぼ6割という結果でした。

同様にして世界総需要に対してランク入りTOP30社、同10社の売上合計の比率もグラフ化してみました。こちらはもう少し手もとの資料があるので2016年からの数値が計算できます。TOP30社の比率は53~56%で推移し、TOP10社の比率は41~44%で推移していました。

上図の推移を言葉で表わすとすれば、ほぼ横ばいということになります。TOP30社で世界の5割強を、TOP10社で世界の4割強を、それぞれ継続的に占有しているということになります。これまで上位30社企業の階層別解析から寡占化が進行していると書いてきましたが、確度の高い二つの統計を合わせると必ずしもそうではないという結果となりました。

Coatings World と Orr&Bossの両方の数字を使って、世界のTOP10、TOP11-30、それ以外の3つの階層の総売上推移を計算してみました。結果が下のグラフです。数字の単位億ドル

2016年と2022年を比較するとTOP10は1.46倍に、TOP11-30は1.15倍、それ以外は1.43倍という結果でした。これだけ見るとTOP11-30の企業群が割を食っているように見えます。こうなっている理由はやはりM&Aに帰するのではないかと思いますが、異なる2つの統計から計算すること自体の不確かさは考慮しておくべきかもしれません。

一方上位30社の中では、どの層がどのくらいの割合を占めているかを占めているかについては下図のようになっています。

上位30社の売上合計に占めるトップ10の割合は確実に増えており、80%以上を占めていることがわかります。上かあ2番目の図より2022年のトップ10の世界市場の占有率は43.9%となります。世界市場の半分近くは上位10社で占められているということになります。

上位30社の中ではやはりトップ10企業の増え方が格段に大きく、11位以下の増え方はほぼ横ばいと行っても良い状態であることがわかります。これはTOP10企業が積極的に拡大化を図っていると言ってもよいと思います。

次に上位30社の動向を例年行ってきた定点観測結果をご紹介します。二つのパターンで定点観測していますが、いずれもTOP10企業の拡大ぶりが強調される結果になっています。

各階層(1-3位、4-10位、11-20位、21-30位)の金額推移を示していますが、増加率の数字を見るとトップ10企業、特に4-10位企業の数値が11~30位企業よりも大きいことがわかります。

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次に1位、10位、20位、30位の会社の推移を示します。

縦軸はそれぞれ異なっているので一概に傾きで判断ができないかもしれませんが、増加率の数字と合わせて見ると最も増加率の大きいのが10位の会社の売上金額であることがわかります。一方で20位の増加率はマイナスとなっており、こうした矛盾した現象はM&Aなしには起こりえないのでは思います。この不均衡な増加率こそTOP企業の積極的なM&Aの結果であると考えています。2022年はM&Aが極めて少ない年でしたが、それでもTOP10企業の拡大はどんどんと進行しているようです。

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