お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2023.08.21

塗料製造業の立ち位置は?・・経産省経済構造実態調査より

今日は、塗料製造業の立ち位置について、全業種および化学工業との比較の中で考えてみたいと思います。すなわち塗料製造業は業種としてどのような位置づけにあるのかということをご紹介していきます。

順番として、いきなり塗料製造業を全体と比べるのではなく、塗料製造業という小分類が属する化学工業という中分類の全業種の中での立ち位置を、そして化学工業の中に置ける塗料製造業の立ち位置を見ていき、最後に塗料製造業が全業種の中での立ち位置がどこにあるのかを見ていきたいと思います。最初は全業種の中での化学工業の立ち位置です。

全業種と言ってもすべての中分類を網羅できませんので、出荷金額が10兆円以上の業種に対して比較を行っています。項目は下図に示した6項目です。化学工業は赤で示してあります。

この3つのグラフから化学工業の特徴として、事業所数は多い方ではないが、1事業に働く人数は多いということができます。つまり事業所の平均規模としては大きいということになります。

上図ではひとりあたりの人件費、出荷金額、付加価値金額を示しました。図中の赤い点線が全業種の平均です。ひとりあたり出荷金額と付加価値金額は、石油製品製造業についで高く、全業種平均の倍近くあります。そしてひとりあたり人件費も石油製品製造に次いで高くなっています。すなわち化学工業全体としては、生産性も付加価値も給与も平均より高い良い業種であると言えます。これで化学工業のポジションはわかりました。

次に、化学工業のなかの塗料製造業の立ち位置を同様にみていきます。下図では全業種平均の赤線に加え、化学工業平均の青線も加えてあります。

今度は出荷金額が1兆円を超える産業小分類を比較しています。塗料の出荷金額は1兆円をわずかに上回る程度なのでこの中では小さな業種になります。事実、化学工業の中では事業所数も従業員数も少なく、1カ所あたりの従業員数も化学工業の平均よりは少なく全業種平均と同じレベルにあることがわかります。

ひとりあたり人件費、出荷金額、付加価値金額については、人件費がほぼ同レベル、出荷金額、付加価値金額は化学工業の中では平均以下になります。しかし、全業種の平均に比べるとすべて高い数値となっています。

興味深いのは左隣の油脂・石鹸・洗剤です。出荷金額ではわずかに及びませんが、上のひとりあたりの数値ではほぼ同じレベルにあります。よく似た業界と言えると思います。少し意外だったのが化粧品・歯磨き製造で、もっと付加価値金額が高いのかと思いましたがそれほどでもなさそうです。

以上見ていただいたように、塗料製造業の立ち位置を表現するとすれば、「全業種の中で有数の優良業種である化学工業の一業種であり、化学工業の中では、やや低位に位置するが、全業種からみれば、ひとりあたりの人件費、出荷金額、付加価値金額とも上回っている」ということになろうかと思います。

明日は、企業規模別の観点からさまざまなデータをご紹介したいと思います。

コメント

コメントフォーム

To top