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かんとこうブログ

2023.08.21

都道府県別塗料関係製品出荷金額・・経産省経済構造実態調査結果より

昨日の結果に引き続き、7月31日に公開された経産省の経済構造実態調査結果のデータをご紹介します。調査年が2022年、出荷金額などは2021年が対象です。今日は都道府県別の出荷数量・金額、付加価値金額についてご紹介します。

実は、都道府県別の出荷数量・金額、付加価値金額は、都道府県別事業所数と従業員数と密接に関係しています。基本的には事業所数が多いほど、従業員数が多いほど出荷数量・金額は多くなると思われますが、事実、事業所数、従業員数が多かった都府県が出荷数量・金額では上位を占めています。(下図)

数量では、愛知県、兵庫県、埼玉県、栃木県、大阪府の順で、金額では、兵庫県、愛知県、栃木県、埼玉県、神奈川県の順でした。この両方で順番は多少変化しますが、顔ぶれはほぼ同じです。

ところで、これらの合計、全国の数値はというと、出荷数量は、216万5786トン、金額が1兆5億9200万円でした。日塗工が集計した数値と比べるとはるかに大きな数値になっています。ご紹介している統計数値と日塗工の統計数値の差異については、①調査対象の違い(日塗工は会員プラスαを対象)②同業者間の出荷の取り扱い(日塗工では約3割ほどあると言われている同業者むけ出荷を除外して集計)と言われています。つまり、経産省の統計では、日塗工よりも広範囲に調査し。同業者向け出荷を含んでいるため日塗工の数値よりも高めの数値になっているということになります。

2000年から2019年までの工業統計表における出荷金額の数値は以下のようになっています。

2019年の出荷金額は1兆674億円でした。今回発表結果の対象である2021年はコロナ禍の最中であり、需要は低迷していました。今回の1兆5億9200万円と言う金額は感覚的には少し高いように感じますが、一概には言い切れません。両方の統計が正しいとすれば、2019年から2021年にかけて出荷金額がやや減少したということになります。

この統計では、付加価値金額というものを算出しています。これは製品出荷金額から、原材料費と燃料費・電気代を差し引いて計算します。つまり購入した原材料やエネルギーにどれだけ価値を付けることができたのかと言う数値です。従業員数30名以上とそれ未満では少し計算方法が違うようですが、あまり細かいことは気にせずに見てみたいと思います。

左が主要都道府県別付加価値金額、右が出荷金額に対する付加価値金額の比率です。都道府県によってかなり差があります。付加価値金額の割合が高いのは東京都、栃木県、兵庫県、愛知県、岡山県という順番になります。付加価値金額の割合についてこのように差がある理由は簡単ではないと思われますが、ひとりあたりの出荷金額と付加価値金額を見ると少しは推測できることがあります。

ひとりあたりの出荷金額と付加価値金額を見ると、数値が高いのが栃木県、兵庫県、岡山県、愛知県という順番になります。ここで気が付くのは、これらの県は大手企業の工場が比較的多く立地している県であるということです。塗料製造における大手と中小の最も大きな差異は原材料費とロットサイズと考えられます。日塗工の塗料製造業実態調査のデータによれば、出荷金額に占める原材料費割合は、最大手と最小規模のグループを比較するとおおよそ4ポイント異なります。(下図)

またロットサイズについては、日塗工の調査結果を基に計算すると、大手と中小では大手:中小=2:1でした。大ロット生産の方がコスト的にメリットがあることは塗料製造では常識であり、規模別の付加価値率で差がつく要因となっていると考えられます。

もちろん、これだけですべてを説明するのは不可能です。例えば東京都などは付加価値金額比率が高い理由は原材料費やロットサイズとは別なところに求める必要がありますが、今手持ちのデータから言えるとすれば原材料費やロットサイズの要因は多少ありそうであるということです。

次回は、全業種および化学工業全体との対比の中で塗料製造業の立ち位置をご紹介します。

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