お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2023.08.23

従業員数30人以上と29人以下ではこれだけ違う・・経産省経済構造実態調査結果より

経産省経済構造実態調査結果の最後は、企業規模別による差異についてです。この調査では従業員30人以上と29人未満で別々に集計がなされてその結果がまとめられていました。この線引きが果たして妥当なのかどうかについては議論がありますが、とにかく結果があまりに差が大きいことに驚きましたのでご紹介します。

昨日同様、全業種の中の化学工業、化学工業の中の塗料と言う順番でご紹介しますが、今日の注目点は30人以上と29人以下の違いです。

上下を比較してもらえば一目瞭然でひとりあたりの人件費、出荷金額、付加価値金額すべてで従業員30人以上の数値が大きく上回っています。平均値で計算すると、29人以下の企業は30人以上の企業に比べ、ひとりあたり人件費が71%、出荷金額が43%、付加価値金額が57%という数字です。特にひとりあたりの出荷金額、付加価値金額が大きく異なり、生産性に大きな差があることがわかります。

次に化学工業の中の塗料製造業をみてみましょう。今度も化学工業の平均を青い点線で示してあります。

化学工業の平均値で比較すると、29人以下の企業は30人以上の企業に比べてひとりあたり人件費が73%、出荷金額が61%、付加価値金額が66%でした。塗料製造業では。29人以下の企業は30人以上の企業に比べ、ひとりあたり人件費が77%、出荷金額が51%、付加価値金額が48%でした。塗料製造業では30人以上と29人未満の比較において、人件費はともかく、出荷金額、付加価値金額の規模別差異が、化学工業の平均よりも大きくなっていました。塗料製造業とて同様に、規模の差は大きいと言えます。

参考までに日塗工の塗料製造業業務実態調査では、企業規模のクラス分けは、A.50人以下、B.51人~100人、C.101人~300人、D.301人~ となっており。最小規模の上限が50人以下ということもあり、今回の発表結果ほどドラスチックに差異が出ていません。(下図:日塗工 塗料製造業実態調査から作図した規模別ひとりあたり売上)

また付加価値金額に近い数値として粗利益(製造原価率)をみた場合にも、今回の発表数値ほどには差がありません。(同様に日塗工 塗料製造業実態調査の数値をもとに作図)製造原価の構成は主に原材料費、労務費、製造経費、燃料動力費などですが、中でもその多くを占める原材料費については、規模が小さいほど高い比率を占めることが知られており、規模別格差の大きな要因と考えられています。

一方、規模別に関しては別なデータも掲載されていますのでそちらも紹介したいと思います。まずは従業員規模別のデータです。従業員数は6段階に区分されています。

300人以上の塗料製造業事業所はデータが3つしかありませんでしたので、数値がやや信頼感にかける感じがしていますが、それ以外のデータで見るといずれの指標も塗料製造業は全業種平均を上回り、化学工業平均とほぼ同じ数値レベルにあると言えます。もうひとつ資本金別のデータもありましたのでご紹介します。塗料の場合1000万円以下の事業所が少ないためにデータが公開されていませんでした。

ここでも同様な結果でした。この場合資本金3億円以上の事業所の一人あたり出荷金額と付加価値金額が大変大きくなっていますので、企業規模格差と言う点では、他業種に比べ格差も大きいということになります。

以上をまとめて、「いずれの観点から見てもひとりあたり人件費、出荷金額、付加価値金額において、規模別格差は大きく、規模とこれら指標は正の相関関係にあるものと思われる。なお塗料製造業は、企業規模に関わらず、ひとりあたり出荷金額、付加価値金額の点で、全業種平均を上回っており、優良業種である化学工業の中でも決して遜色のないレベルにあると思われる。」と結論つけたいと思います。

この統計調査結果についてはこれで終わります。

コメント

コメントフォーム

To top