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かんとこうブログ

2023.08.25

原材料価格情報としての経産省確報について

一昨日の製販装業界三団体の専務理事による最新動向セミナーで、日塗工の原川専務理事が原材料の需給・価格動向について説明していましたが、その資料の出典が「経産省 工業動態調査」とありました。この「経産省 工業動態調査」とは所謂日ごろ「速報」「確報」と呼ばれているもので、あらゆる工業製品についてかなり細分化されて項目でその生産数量や出荷数量、出荷金額などを報告しているものです。膨大なデータなのですが、日塗工ではこのうちの塗料関係だけを抜きだして「速報」または「確報」として報告してくれています。

本ブログでは、これまで原材料の価格動向として主に日銀の企業物価指数を使って報告してきましたが、原川専務理事の資料を見る限り、工業動態調査の方がはるかに多くの項目が記載されているようでしたので調べてみました。予想通り日銀企業物価指数よりも多くの塗料原料価格が掲載されていることがわかりましたので、これまで確報の塗料単価でご紹介してきた指数値(2021年1月=100)により、各原材料の価格動向を示したいと思います。最初は溶剤関係です。

日銀の企業物価指数ではキシレンのデータはありましたがそれ以外のデータはありませんでしたので、一挙に情報が増える形になります。芳香族炭化水素はナフサ連動というイメージが強かったのですが、それに比べると他の溶剤の価格上昇は随分と小さいことがわかります。

続いて樹脂です。

これらの中では石油樹脂の指数が最も高くなっていました。ひところ品不足が言われたエポキシ樹脂もこのところやや下がり気味であり、全般的に今年に入り樹脂の指数の上昇は停滞気味になっています。

続いて樹脂原料です。

ビスフェノールAとエピクロルヒドリンはエポキシ樹脂の、エチレングリコールはポリエステル(アルキド)樹脂の、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸モノマーはアクリル樹脂の原料です。この中ではスチレン、エチレングリコール、アクリル酸エステルの価格が他の原料に比べて上昇幅が大きくなっています。

最後に顔料関係です。

カーボンは油を燃焼させて生産するため価格が高騰していると以前に報告していましたが、やはり高めです。酸化亜鉛は一時の高騰が収束してきたようです。酸化チタンは引き続き高騰中です。

というような状況です。ここで気になるのは、日銀の企業物価との関係ですが、同じ品目が4つありましたので、比較してみました。日銀の企業物価もいつもご紹介している2020年基準ではなく、2021年1月を100とした指数に換算してあります。

青が経産省の工業動態調査、赤が日銀の企業物価指数です。キシレンは比較的よく一致していますが、それ以外はすべて工業実態調査の方が高くなっています。経産省の数字は出荷における単価、日銀の方は購買における単価なので、通常購買時の単価の方が高くなってもよいと思われますがそのようにはなりませんでした。この現象を説明する仮説としては、出荷と購買のあいだに存在する流通業者のマージンの影響というのが考えられますが、仮説の域をでません。

本来金額で示すことができれば両者の差異は明確になるのですが、残念ながら日銀の企業物価指数はあくまで指数値しかありませんので、参考までに工業動態調査の数値から計算した単価を下記ファイルに示します。

files/files20230824171324.pdf

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