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かんとこうブログ

2023.09.21

金額は戻ったものの数量は減少の一途・・8月度業況観測アンケート

19日に日塗工から業況観測アンケート8月度の結果を受領しました。すでに組合員には結果をお送りしていますが、ここではもう少し突っ込んで調べた結果をご紹介したいと思います。

まず、各需要分野別の前年同月比のデータからご紹介します。全体の金額についての前年同月比は昨年5月から16カ月連続で前年比100超えですが、数量は先月の100超えからまた100を割り込んでしまいました。

各需要分野別では、建築外装は30ケ月連続、自動車は8か月連続、船舶・構造物が20カ月連続、電気機械金属が12か月連続で前年同月比100超えでしたが、木工は逆に10か月連続で前年比100を下回っています。

またこれまで1年以上継続している数量と金額の乖離については、8月もほぼこれまでと変わりがないようです。

左が業況観測アンケートの金額と数量の前年比推移、右が経産省確報の金額と数量の前年比推移ですが、ここへきてほぼ同じような乖離幅に収斂してきているようです。(経産省のデータは7月度まで)

さて、なぜこの乖離に拘っているかというと、普段から注目されている金額については、後述するようにコロナ禍前に戻っていることが確実であると考えていますが、数量については大きく減じていることが確実であるからです。日塗工の資料のように単なる前年同期比を時系列に並べても、コロナ禍前からどのくらい減ったのかがわからない状況になっています。

コロナ禍前にもどったのかどうかについては以下のように比較をしています。金額面については、2018年の各月を100として2019年以降の各月の前年同月比を掛け合わせていきグラフを作成します。2023年8月の指数は以下の様にして計算します。

2023年8月の指数=2019年8月の前年同月比X2020年8月の前年同月比X2021年8月の前年同月比X2022年8月の前年同月比X2023年8月の前年同月比/(100^4)

こうして計算してきた各月の指数をグラフ化したものを下図に示します。

1月から3月までは、4月以降と異なり2020年にコロナ禍の大きな影響を受けていませんがそれでも2023年にはほぼ全分野100のライン、すなわち2018年の水準以上に復帰しています。同様に4月から8月までも、2020年の大きな落ち込みはあるものの、2023年には2018年の水準にまで回復したことは間違いないことが示されています。

一方で数量の方は全く様相が異なります。

左は経産省確報の純出荷数量の年間推移です。純出荷数量は2020年に大きく落ち込んだあと、一時的には回復しましたが、その後も低迷を続け、2022年、2023年(1~7月)はどんどん出荷数量が減少しています。

右図は同統計の月別出荷数量を2018年から2023年までプロットしたものですが、2023年の各月の数量は2018年以降の6年間で最少部類であることがわかると思います。

単純に直線近似(下図)すると毎月336トン以上減少していると計算されまます。年間では約4000トンの減少となります。

この数量の減少に関しては、何か原因が明確に判っていればよいと思います。例えばSDGs意識の高まりから顧客側での塗着効率が改善され、需要そのものは減ってはいないが使用量が減ったということであればよいのですが、何か理由も判らずに出荷数量が減少している状態を黙って見ていてよいのかという気持ちが強くあります。

金額はもちろん重要であり、会社経営の、あるいは業界の業況の最重要指標であるとは思います。しかし、それと同じように数量は、需要動向を示す重要な指標であるにも拘わらず軽視されがちであることに懸念と不安を感じずにはいられません。

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