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かんとこうブログ

2023.10.19

金額は回復、数量は低迷・・・9月度業況観測アンケート

17日に日塗工から業況観測アンケート9月度の結果を受領しました。すでに組合員には結果をお送りしていますが、ここではもう少し突っ込んで調べた結果をご紹介したいと思います。

まず、各需要分野別の前年同月比のデータからご紹介します。全体の金額についての前年同月比は昨年5月から17カ月連続で前年比100超えですが、数量は先月に続き2カ月連続の90台になりました。しかしながら、木工が11か月ぶりに前年比越えとなったのは明るいニュースです。

各需要分野別では、建築外装は31ケ月連続、自動車は9か月連続、船舶・構造物が21カ月連続、電気機械金属が13か月連続で前年同月比100超えでした。木工は11か月連ぶりに100を超えました。このように全分野が100を超えたのも11か月ぶりです。

またこれまで1年以上継続している数量と金額の乖離については、9月もこれまでとほぼ変わりがないようです。

左が業況観測アンケートの金額と数量の前年比推移、右が経産省確報の金額と数量の前年比推移ですが、ここへきてほぼ同じような乖離幅に収斂してきているようです。(経産省のデータは8月度まで)

さて、なぜこの乖離に拘っているかというと、普段から注目されている金額については、後述するようにコロナ禍前に戻っていることが確実であると考えていますが、数量については大きく減じていることが確実であるからです。日塗工の資料のように単なる前年同期比を時系列に並べても、コロナ禍前からどのくらい減ったのかがわからない状況になっています。

コロナ禍前にもどったのかどうかについては以下のように比較をしています。金額面については、2018年の各月を100として2019年以降の各月の前年同月比を掛け合わせていきグラフを作成します。2023年9月の指数は以下の様にして計算します。

2023年9月の指数=2019年9月の前年同月比X2020年9月の前年同月比X2021年9月の前年同月比X2022年9月の前年同月比X2023年9月の前年同月比/(100^4)

こうして計算してきた各月の指数をグラフ化したものを下図に示します。

9999

1月から3月までは4月以降と異なり2020年にコロナ禍の大きな影響を受けていませんがそれでも2023年にはほぼ全分野が100のライン、すなわち2018年の水準以上に復帰しています。同様に4月から9月までについても、2020年の大きな落ち込みはあるものの、金額については2023年までに2018年の水準にまで回復したことは間違いないことが示されています。

一方で数量の方は全く様相が異なります。

右は経産省確報の純出荷数量の年間推移です。純出荷数量は2020年に大きく落ち込んだあと、一時的には回復しましたが、その後も低迷を続け、2022年、2023年(1~8月)はどんどん出荷数量が減少しています。

左図は同統計の月別出荷数量を2018年から2023年までプロットしたものですが、二つのグループに大別されます。ひとつは2018年と2019年、もう一つは2020年から2023年です。そして2023年の各月の数量は2018年以降の6年間で最少の部類であることがわかると思います。純出荷量からみれば、2023年はコロナで大きく落ち込んだ2020年とさほどかわらないのです。

単純に直線近似(下図)すると毎月338トン以上減少していると計算されまます。年間では約4000トンの減少となります。

この数量の減少に関しては、何か原因が明確に判っていればよいと思います。例えばSDGs意識の高まりから顧客側での塗着効率が改善され、塗料・塗装に関する需要そのものは減ってはいないが使用量が減ったということであればよいのですが、何か理由も判らずに出荷数量が減少している状態を黙って見ていてよいのかという気持ちが強くあります。

金額はもちろん重要であり、会社経営の、あるいは業界の業況の最重要指標であるとは思います。しかし、それと同じように数量は、需要動向を示す重要な指標であるにも拘わらず軽視されがちであることに懸念と不安を感じずにはいられません。(本項、結局文章は先月とほぼ同じとなりました。データは更新しましたが、文章を付けるとなると同じことを繰り返さざるを得なかったという事情によるものです。本当に心配しています)

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