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かんとこうブログ

2024.01.25

短期集中連載 インドネシアという国 その1

1月11日の関塗工賀詞交歓会の講演会において「蘭印 プレジデント」というタイトルで以前インドネシアに駐在したころの話を紹介させていただきました。この講演のため、インドネシアを紹介するための資料をいろいろと集めたのですが、結局それらは全く使うことなく終わってしまいました。このままではもったいない気もするので、短期連載でインドネシアをいう国をご紹介していきたいと思います。日本人にとってバリ島があまりにも有名で、インドネシアというのはそういうところかと思われがちですが、実はバリ島はインドネシアの中でも異端も異端、宗教も文化も全くインドネシアらしくない場所なのです。さて前置きはこのくらいにしてインドネシアのご紹介を始めたいと思います。(本日の図の多くは「世界経済のネタ帳」のサイトから引用したデータで作成しています。)

なお私が現地にいたのは2012年~2014年であり、今から10年前です。データはなるべく新しいものを使ったつもりですが、基本的にはその当時の記憶に基づき書いております。従いまして現在の現地事情とは異なる場合もあるのではないかと思いますが、その点はご容赦くださいますようあらかじめお願いをしておきます。

本日、インドネシアについてご紹介したいと思っている項目を示します。

インドネシアと言えばまず人口について語らねばなりません。かなり知られていることではありますが、インドネシアは世界で4番目に人口が多い国です。1位インド、2位中国、3位アメリカについで堂々の世界第4位となります。(下左図)

2023年で2億7750万人とされており、日本の2倍強の人口ですが、日本がもはや人口減少に転じているのに対し、いまでも直線的に人口が増加しており、毎年300万人の増加です。(上右図)少子化に悩む日本から見ると羨ましく感じるほどの増加ぶりです。

となると年代別人口構成がさぞや美しいピラミッド型と思われるかもしれませんが、実はそう単純ではありません。下図はインドネシアと中国、日本の年代別構成を現したものですが、おそろしいほどいびつな日本と中国のピラミッドに挟まれたインドネシアもなにやら怪しげな形になっており、特に10歳以下の年代は明らかに減少傾向にあります。

とは言え、平均年齢が29.7歳であり、中国の38.4歳からは8.7歳若く、日本の48.4歳からは18.7歳も若くなっており、高齢者割合も6.91%と日本の29.91%の1/4以下の若い国であることには違いありません。

若い国と聞くと経済発展、新興国という言葉が浮かぶ人も多いと思います。実際にはどうなのでしょうか?東南アジアの国々で比較したのが下左図です。

インドネシアは過去44年間で平均5%を超える経済成長率を残したきました。ただし、東南アジアの中では中程度でありベトナムには及びません。また最近になるほどその勢いは低下しており、最近10年間では4%近くまで低下しています。それでも日本から見ると大したものですが、これまでの経済成長においては、インドネシア人にとって日本が経験していない、そして今でも忘れられない苦い出来事があります。それは1997年のアジア通貨危機です。

上右図で日本とインドネシア、中国の経済成長率の推移を示しますが、インドネシアにとってこの50年間で最も深刻な経済危機はリーマンショックでもなく、コロナ禍でもなく、アジアの通貨危機でした。一晩でインドネシアの通貨であるルピアの対USドルレートが1/3に下落し、街は大混乱に陥りました。中国人が襲撃され、日本人も巻き込まれたと聞きました。この通貨危機の記憶がいまだにトラウマとなってインドネシアの社会に残っています。それは高価なものの値段です。あらゆるもの、車や高級家具、マンションの家賃など値段の張るものは、価格がルピアではなく、USドルで決められているものがたくさんありました。通貨危機の記憶がそうさせているのです。

このアジア通貨危機の記憶は、ベトナムを除く東南アジア主要国に共通するものです。

通貨危機における為替の暴落は、過去44年間の推移にも明確に残っています。ルピアはUSドルだけでなく、円に対しても暴落したのです。そしてその後もルピアは長期的には下落傾向にあります。(ただし、コロナ禍以降の円に対しては上昇しています)     通貨換算機能システム (fxtop.com) より作図、引用させていただきました。

さて豊かさの尺度とも言える一人あたりGDPはどうなのでしょうか?

上の3つのグラフは縦軸をそろえていますので見たままがそれぞれの国のひとりあたりGDPです。ダントツのシンガポール、上流のマレーシア、中の上のタイ、中の下のインドネシア、追いかけるフィリピンとベトナムという感じでしょうか? ひとりあたりGDPが3000ドルを超えると車の普及が進むとも言われています。同時に中進国の罠という言葉もあり、なかなか一人10,000ドルに到達できないケースもたくさん見られます。インドネシアのひとりあたりGDPが3000ドルを超えたのはもう10年以上前になりますが、まだ5000ドルあたりであり、この先順調に成長していけるのかはまだ未確定のように思えます。

このひとりあたりGDPについては、こんな話を聞きました。「第二次世界大戦終了時にはシンガポールもマレーシアもインドネシアも大きな格差はなかったが、その後の経済発展は人口に占める中国人比率に比例して差がついていった」というものです。すなわち、中国系がほとんどを占めていたシンガポール、約半数だったマレーシア、少数に過ぎなかったインドネシアの順に発展したのだという話です。真偽のほどはもちろんわかりませんが、インドネシアに住んだ実感としてはあながりホラ話とは言えない現実味がありました。

今日のまとめ

・インドネシアは世界4位の人口大国 ・平均年齢29.7歳の若い国 ・最近10年の年平均経済成長率は4.2% ・過去の通貨危機で大打撃を受けいまもトラウマとして残る ・東南アジア主要国の中で、ひとりあたりGDPは中の下

さて短期連載の1回目はここで終わりとします。

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