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かんとこうブログ

2024.01.30

短期集中連載 インドネシアという国 その4

今日は短期連載の最終回です。今日はインドネシアの塗料事情についてご紹介したいと思います。

インドネシアの塗料需要は日本と大きく異なっており、建築塗料が大半を占めます。これは世界の多くの国で見られる現象であり、発展途上の国では普通の需要状況です。下図のインドネシアの塗料需要とその内訳を示します。

建築用が8割を超えており、圧倒的な需要です。しかもその多くは内装用であり、外装が少ない点も日本と大きく異なります。インドネシアには幸いにして壁紙文化はありません。建築用についで多いのが木工用というのも日本と大きく異なります。全体数量としては120万トン弱(2019年)ですので、日本より少し少ない数量であり、正確には日本の2019年の純出荷は150万トンでしたので、日本の78%に相当します。人口は日本の2.25倍ですから、一人あたりにすれば、日本の35%の消費量になります。但し建築塗料だけで比較すると、インドネシアが3.63Kg 日本が3.25Kgと、インドネシアが日本をやや上回っていました。

インドネシアの建築塗料市場は2010年代順調に成長してきました。コロナ禍のデータがないので、その後はわかりませんが、今後もまだまだ成長する余地は十分にあります。日本市場と異なり内装中心と書きましたが、用途先だけでなく品種構成も大きく異なっています。

Economyと呼ばれる普及品が過半数を占めますが、この中身は日本ではすでに塗料市場から消えた酢ビのエマルション塗料です。価格的に圧倒的に安く、内装用途であれば品質的にも全く問題ありません。世界的に見ればこれが普通で、日本のようにフッ素やシリコンがこれほど使われている市場の方が珍しいと思います。

販売方式も日本とは大きく変わってきています。伝統的な塗料販売店では既調合の塗料をそのまま販売していましたが、今や一般の塗料販売店でも店頭調色が一般化しています。これがDIYとなると各社の店頭調色機がひしめく激戦区となります。インドネシアの建築塗料市場には多数のメーカーが存在し、激しい競争が行われています。激戦区であるDIYでは時には10社以上が店頭調色機を並べて競いあうことも珍しくありませんでした。

DIYショップで塗料は稼ぎ頭のひとつであり、床用タイルについで品目別では2番目の売上となっていました。

店頭調色は塗料メーカーにとってメリットとデメリットがあります。デメリットはコストです。今はどうかわかりませんが、私の居た頃は、DIYでは店頭調色機、シェーカー、色見本帳、を無償提供することはもちろん、セールスプロモーションガールと呼ばれる販売促進員と調色機を操作する調色マンを無償で派遣することを求められました。販売店に対しても店頭調色機は無償貸与がほとんどだったと思います。一方メリットは主に二つでした。ひとつは価格で、店頭調色品の方が高くても売れました。その場で自分が選んだ色を作ってくれるので購入者の満足度が高くなるため、多少の割高でも買ってもらえます。二つ目のメリットは在庫と配送の簡素化です。店頭調色では、ベース塗料(白、淡彩用、濃彩用など)と調色ペーストだけを用意すればよく、この調色ペーストも自動車補修用のように何十色も用意する必要はなくせいぜい10色、時には7-8色で済ませることができます。既調合で多くの色の塗料を作り在庫しておくことに比べ、圧倒的に在庫と配送を簡素化できるのです。

季節的な繁忙期に関して言えば、昨日述べたように断食(ラマダン)明け前の3か月で、年間の4-5割を売りあげます。反動で断食明けの月は売り上げが大きくおちこみます。

塗料メーカーに関して言えば、POS販売を設置している塗料メーカー15社以上ありました。国際的なメーカーとしては、Nippon Paint, AKZO-NOVEL, Jotun, TOAでした、TOAはタイの建築のトップメーカーでかつて日本のトウペと提携していました。今は中国塗料と防食分野で提携関係にあります。ローカルメーカー(国内メーカー)としてはAvian, Mowilex, Propan, Dana paint, Pacificなどです。この中でユニークなのはAvianです。私がいた当時は新興メーカーでまだシェアも高くなかったのですが、テレビコマーシャルに多額の投資をして知名度を上げ、昨年Coatins WorldのTop Companies Reportにランク入りしました。すなわち1億ドル企業の仲間入りをしました。Avianグループは多くの企業からなる企業集団で、当時は塗料会社は道楽でやっていると言われたほど採算度外視のコマーシャル攻勢をかけていました。テレビコマーシャルはインドネシアの塗料市場で成功するための一つの方法であることが立証されたわけですが、採算度外視と言われるほどの資金をつぎ込めるかは難しいところだと思います。
   
以上がインドネシアの塗料市場についてのご紹介です。シリーズの冒頭にも書きましたが、私がいたのは2012年~2014年であり、もう10年前の話です。統計数字はなるべく新しいものを使うように心がけしましたが、現地事情は変わっているかもしれません。現在の現地事情を十分確認しないまま書いておりますので齟齬がありましたらご容赦ください。インドネシアについては一応これで終わりとなりますが、明日もう一日だけおまけを書きます。

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