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かんとこうブログ

2024.05.12

世界リレーでの入賞を受けて・・パリ五輪の男子リレー展望

5月5日~6日に行われた世界リレー大会で、日本の陸上男子チームは4X100Mリレー、4X400メートルリレーにおいてパリオリンピックの出場権を獲得するとともに、ともに4位入賞を果たしました。メダルを期待するむきもあったかと思いますが、今回はこれで十分、本番のオリンピックに向けて準備を進めてほしいと思っています。

今回の結果を踏まえてパリ五輪における男子リレーの成績を展望してみたいと思います。最初はバトンパスの要因が比較的少ない4X400メートルリレーについて展望します。

今回の世界リレーでは大本命のアメリカが予選で失格となりました。その結果ボツワナが優勝、南アフリカが2位、ベルギーが3位となりました。4位以下は日本、イタリア、イギリス、ドイツ、ナイジェリアでした。この4X400メートルリレーはひとり400メートルずつ走りますので、4X100メートルリレーに比べてバトンの受け渡しの巧拙では差が付きにくく、個人の走力が決定的な要因です。そこで、世界の強豪国について、各国上位4選手のタイムを調べてみました。

一覧表の字が小さくなり見にくくなって申し訳ありませんが、右端の数字が4人の合計タイムです。基本的にはここから1秒程度マイナスしたものが実現可能なタイムと考えられています。ともかくアメリカとジャマイカが抜けていますが、今回アメリカは予選で失格、ジャマイカはこの上位4人のうち1人しか参加せず、予選で敗退しました。今回優勝したボツワナは持ちタイム4番目、2位の南アフリカは持ちタイム3番目ですので、アメリカ、ジャマイカがいないとなると順当な結果と言えます。持ちタイム5番目のブラジルは、上位4人のうち2人だけしか出場しておらず予選で敗退しています。であれば持ちタイム順位6位の日本が銅メダルを取っていてもおかしくなかったのですが、持ちタイム9番目のベルギーに僅差で敗れました。持ちタイム1秒は逆転可能とも言えます。

以上が今回の結果と解析です。これを踏まえてパリ五輪を展望します。最終的に二次予選でアメリカもブラジルも出場権を獲得しましたので、五輪には出場してきます。ただし、ジャマイカは二次予選でも振るわず敗退しました。ですので、日本はこのままであれば持ちタイム5番目のチームとして出場することになります。普通に走ればアメリカの優勝は動かないところでしょうから、メダルを取るにはボツワナ、南アフリカのどちらかを超える必要があります。

今回の決勝のレースでは、第1走者の佐藤拳太郎選手が4位、第2走者の佐藤風雅選手が6位でバトンを渡しています。そこから中島佑気ジョセフ選手が追い上げ4位でアンカーの川端選手につないでいました。一旦6位まで落ちるとバトンパスで大きく外側にはみ出せなねばならずその後の追撃が難しくなります。3位になるには、日本のエースである両佐藤選手に頑張ってもらい、2走終了時点でできれば3位以内、悪くても4位以内でレースを運ぶことができればと思います。さらにメンバー入りを目指して多くの選手が切磋琢磨し、新しい力の台頭も期待したいところです。

続いて4X100メートルリレーです。まず各国上位4人の合計タイム一覧表からご覧ください。

単純合計で40秒を切っている国が4つあります。アメリカ、ジャマイカ、イギリス、ブラジルです。今回の世界リレーでは、優勝はアメリカ、2位カナダ、3位フランスでした。ジャマイカは7位、イギリスは5位、ブラジルは予選、二次予選とも敗退でした。ブラジルは上位4選手が一人も出場していませんでした。となるとこのままであれば、日本はパリ五輪では持ちタイム6番目のチームとして出場することになります。

4X100メートルリレーが先の4X400メートルりれーと大きく違うところは、バトンパスの影響が大きいことであり、実際のタイムはこの持ちタイム合計時間より2秒以上短縮されます。下表は過去の世界選手権とオリンピックで日本チームが入賞した時のメンバーとそのベストタイムおよび合計タイムと実際のタイムの差の一覧表です。

持ちタイムの合計と実際の記録との差は、最小で2.28秒、最大で2.78秒もあります。この短縮度合いがバトンの巧拙によって変化するわけです。日本チームの現時点でのベストメンバーのタイム合計は40.19であり、バトンで最大短縮できたとすれば、37.41秒となります。実はこの37.41秒というタイムは、歴代の世界選手権のタイムと比較しても遜色のないタイムです。(下図参照)

とは言え、あくまで可能性としてはあるという話であり、今回の世界リレーのタイムは予選が38秒10、決勝が38秒45に過ぎません。このタイムでは五輪本番で決勝に進むことはできません。個々の選手のタイムのレベルアップとバトンパスの完成度をあげる必要があります。個々の選手には、これから五輪に向けて調子を上げて行ってほしいと思っています。

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