かんとこうブログ
2025.10.01
対米自動車輸出は8月も依然単価が低いまま
9月に発表された貿易統計のうち、自動車に関するところをご紹介します。自動車の輸出は実は季節要因がかなりあり、毎月の変動もそれを考慮して解析する必要がありますが、こと単価に限っては季節要因は除外できそうなので、そのあたりから自動車および自動車輸出の動向を見ていきたいと思います。
2024年4月からの自動車輸出台数、輸出金額、単価(万円/台)を対全世界、対米、対EU、対アジアにわけて図示します。(出所は貿易統計です。)
図は左から輸出台数、輸出金額、単価であり、上段から順番に対全世界、対米、対EU、対アジアです。赤い△は1月、5月、8月を示しており、これらの月は稼働日数が少ないため国内の生産台数が減少し、それにより輸出も少なくなる傾向にあります。
一番上の対世界輸出では、輸出台数と輸出金額は明らかにこうした季節要因の影響を受けていることがわかりますが、単価はこうした特別な月であっても変わらないようです。また上段から下段へ目を移していくと、対全世界は少し金額が減少傾向ですが、対米輸出では、明らかに輸出金額と単価が低下傾向にあります。特に単価の低下が著しく、2024年4月では、単価が500万円近くであったのに、直近の8月では350万円付近になっています。この単価の降下は2025年5月以降特に顕著であり、トランプ関税の影響に他なりません。トランプ関税はそれまでの25%から15%に引き下げられることが決まり、8月7日から発動されたようですが、まだこの段階ではその影響というか効果が判りません。10月10日過ぎに9月の貿易統計が発表されますので、9月は8月の台数と金額の落ち込みから回復することは確実としても、注目は単価が回復するかどうかとなります。
対米に比べると、対EU、対アジアは季節要因以外の大きな変動はないように思われます。
また自動車部品に関しても同様な動きになっています。
ここでは、各地域向けの自動車部品輸出における数量(重量)と単価(金額/重量)をグラフ化しています。対米輸出では自動車同様、自動車部品の単価が低下し、金額も減少しています。自動車と異なることは、対アジア輸出でも単価が低下していることです。自動車部品は自動車と異なり、対アジアの割合が大きいため、対米と対アジアの自動車部品の単価が低下したことで、対全世界の自動車部品の単価も低下しています。
以上が自動車、自動車部品の輸出動向でした。トランプ関税がFixされたとは言え、もとに戻ったわけではありませんので、今後もWatchを続けたいと思います。