かんとこうブログ
2026.07.13
ナトリウムイオン二次電池、早期実用化へ
7月9日にナトリウムイオン電池の技術開発が、国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の 「⾰新型蓄電池技術開発・⾼度解析」事業に採択されたと発表されました。いまや電池と言えばリチウム電池の時代ですが、同じアルカリ金属元素であるナトリウムを使用した電池が開発されるのかと興味を持ちましたので調べてみました。
このナトリウム電池の技術開発研究の代表を務める駒場慎一教授が所属する東京理科大学と早稲田大学、大阪大学の共同発表の内容からご紹介します。基本的に技術内容はほとんど書いてありませんが、2011年に駒場教授がレアメタルフリーでナトリウムイオン電池の安定作動を実証したことがわかりました。またこの研究課題には、他にも多くの企業や大学が参加することもわかりました。

次にお金を出す立場の国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)のプレスリリースをご紹介します。こちらも簡単な内容で、新しい電池としてフッ化物電池、亜鉛マンガン電池、次世代ナトリウム電池の3つのテーマについて、資源リスク・調達リスクの低い革新型電池の開発を行うとして、それぞれの電池の図が載っていました。

ただし説明は一切ありませんのでよくわかりませんが、右図の次世代ナトリウムイオン電池の図をみるとなにやらリチウムイオン電池の図に似た電池であることがわかります。負極にはグラファイトと思われる図が描いてあります、また正極には酸化物ポリアニオンと書かれていました。充放電ではナトリウムイオンが行き来する図ですので、このナトリウムイオンの働きはリチウム電池のリチウムイオンの役割と同じであることがわかります。
さらに情報を求めて、このプロジェクトの代表を務める駒場教授の研究室のホームページ(下記接続先)を探すと下図が見つかりました。(ナトリウム電池の図は上の図と正極と負極が左右逆になっています)

研究室にはナトリウムイオン電池のほかに、リチウムイオン電池やカリウムイオン電池などたくさんの研究テーマが紹介されていましたが、ここではリチウムイオン電池とナトリウムイオン電池に関する研究の紹介を引用させてもらいました。両方を見比べていただくとわかりますが、まさにナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池のリチウムをナトリウムで置き換えただけのようにそっくりであることがわかります。炭素負極というのはグラファイト、ポリアニオンの正極というのはナトリウム系層状酸化物であることもわかりました。
念のため、専門家の意見を聞いてみるということで、電池の専門家であるテイクさんのサイトから(下記URL)、ナトリウムイオン電池の解説を引用させていただきました。
https://battery-ism.com/na-ion-li-ion/

かなり詳しく丁寧に説明されていますが、要点は中央上部の表にまとめられています。ナトリウムイオン電池は名前の通り、リチウムイオン電池の「リチウムイオン」を「ナトリウムイオン」に置き換えた電池であること、ナトリウムイオン電池のメリットは、動作温度範囲が広く、特に低音域の可動範囲が広いこと、熱暴走の閾値(温度)が高く、発熱量が低いため安全性がさらに高いこと、材料が豊富で安価であることです、そして最大のデメリットはリチウムイオンに比べてエネルギー密度が低いために、電池が大きくなりやすく重量も重くなることでこれは原子の特性であるため簡単には解決できないことです。
以上がナトリウム電池の概要です。使用する資源に数量や地域的に制約があることは、時として致命的な制約問題になりかねないことは今回の中東情勢不安で明らかになりました。ナトリウムが豊富で安価な材料というのは捨てがたい魅力があります。研究の進展に期待したいと思います。