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かんとこうブログ

2026.07.14

アンモニア燃焼船の話

先週金曜日のテレビ東京「ガイアの夜明け」は日本の造船特集でしたが、後半はすっかり「アンモニア燃焼船」の話となりました。以前石炭火力におけるCO2削減方法としてアンモニアと混合して燃焼させるという方法を調べていましたので、ある程度は想像できましたが、化石燃料との混焼ではなく、アンモニアだけを燃焼させるのに近いようなので驚きました。今日はこのアンモニア燃焼船について調べたことをご紹介します。

まず、アンモニアを燃やすと一体どうなるのでしょうか?ちょっと考えると水とNOxができるように思いますが、完全燃焼するとCO2はもちろんNOxも出ません。窒素と水だけが燃焼生成物となります。と言っても実際はかなり複雑な反応で、関係する化学種は31種類、反応式は203もあるとのことです。化学にとても詳しいけむさんのサイトから引用させていただきました。

https://chem-3.com/ammonia-combustion-chemical-reaction/

 

  

   

上図で矢印をどんどん辿っていくとN2に着きます。窒素原子の燃焼生成物はなんと窒素になります。これがカーボンニュートラルにおいてアンモニアが注目される最大の理由です。

  

アンモニア燃焼船の話に行く前に少し寄り道をしてアンモニア火力発電のメリットとデメリットを見ておきたいと思います、いずれアンモニア燃焼船の話にも関係のあることがたくさんでてきますので。

  

   

これもけむさんのサイトから引用させてもらったものに少し書き込みをしています。見ていただきたいのはデメリットの方の書き込みです。アンモニアは肥料や化学物質の原料として大変重要ですが、これを作る際に多くのCO2を排出しており、その量は世界中から排出されるCO2の1.8%にあたると解説されています。ただし、6月22日に弊ブログでご紹介したさまざまな水素の中で、CO2を排出しないグリーン水素とブルー水素から作られたアンモニアの場合にはこの課題はクリヤーされます。また火力発電では混焼が前提とありますが、先ほど書いたように船舶は専焼に近い形で燃焼されますので、デメリットのいくつかは解決されることになります。

   

さて話を元にもどしてアンモニア燃焼船ですが、すでに実際の船でアンモニアを燃料として航行している船が1隻、もう少しで完成する船が1隻あります。すでに航行している船からご紹介します。ここでも昨日のところで出てきた国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が登場します。エネルギーに関する新しい技術の開発案件ですので、当然に如くNEDOの守備範囲というわけです。以下NEDOの発表資料からの引用です。

   

   

タグボート(船を港湾内など曳航する船)での3カ月間の実証航海において、アンモニア混焼率とCO2削減率の両方で90&以上を達成したと報告されています。可燃性の高くないアンモニアを燃焼させるには、なにがしらの化石燃料が併用されますが、その割合が全体の10%以下で運航できたということを意味しています。さらにこれまで燃焼を助けるための化石燃料がLNGであったものが、世界で初めて重油を使用して混焼を達成したとも報告されています。

   

このアンモニア燃焼船は次世代エネルギー船として、日本だけでなく中国、韓国でも開発が進められていましたが、実船において日本が一歩リードできたようです。参考までにこのタグボートは、アンモニア運搬船を曳航する目的で建造されています。そしてその曳航するアンモニア運搬船が、今年の11月に完成予定のアンモニア燃焼船なのです。

   

完成間近のアンモニア運搬船については、少し古い発表しか見つかりませんでした。日本郵船ら五者の発表資料により引用いたします。

   

   

このアンモニア運搬船建造の目的のひとつにアンモニアバリューチェーンの構築が上げられており、4万立米という実際に用いられる予定の運搬船に近い大きさの船が建造されています。船を動かすためのエンジン(主機)では混焼率最大で95%を目指すとされています。船全体での80%以上のCO2削減率を目指しています。「ガイアの夜明け」ではこの船が進水を終えて、エンジンが設置される様子まで報告されていました。予定通り完成するものと思われます。

   

以上がアンモニア燃焼船に関する内容です。一方で、発電におけるアンモニアの混焼に関しては、株式会社JERAジェラから今年の6月18日にアンモニア運搬船の用船契約締結が発表されています(下記接続先)。こちらも下記に引用してご紹介します。

   

https://www.jera.co.jp/news/information/20260618_2437

  

   

発表内容は、愛知県碧南市にある碧南火力発電所において2029年をめどに開始されるアンモニアの混焼発電にむけて、アメリカのブルー水素(水素を作る際に生じるCO2を地中に貯留する製造方法)を日本に運搬するため、日本郵船と商船三井という日本のトップ船会社2社と用船契約を締結したというものです。こうした低炭素のアンモニアのバリューチェーン構築は国内初ということです。アンモニア運搬船のイメージ図で使用されている日本郵船の船は、明らかにアンモニア燃焼船のようですので、将来的には、バリューチェーンのエネルギーについてもアンモニアの燃焼で賄われるようになることが期待されます。アンモニア混焼技術は、専焼も含め実用化への道を着々と歩んでいるようです。

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