かんとこうブログ
2026.09.04
経済構造実態調査2025から・・品目別の製造実態
今日は品目別の製造実態をご紹介したいと思います。と言っても、経産省確報のようには細分化されたデータがあるわけではなく、以下の7品目にラッカーを加えた8品目の製造統計となります。溶剤系合成樹脂塗料など、溶剤系、水系、無溶剤系という大きな括りもあるのですが、製造事業所数など確報ではわからない数値もあります。
最初は品目別の出荷金額(単位億円)とその内訳です。出荷金額の合計は1兆3000億円となっており、経産省確報とはかなりの差があります。この経済構造実態調査と経産省確報の品目別比較は後程行います。

ざっと見たところ、経産省確報よりもそれぞれが大きな金額ですが、特に電気絶縁塗料とその他塗料の金額に際立った差があるように思われます。
次に、品目別出荷金額と出荷数量、事業所数、1事業所あたりの出荷金額の2021~2024年の推移を図示します。

2021年~2024年では、油性、電気絶縁、溶剤系合成樹脂といったところが数量、金額とも増加傾向です。水系は横ばい、無溶剤は減少傾向でした。シンナーは数量は微増、金額は微減、その他塗料および関連製品の金額は微増です。
それぞれを製造する事業所数については油性塗料、電気絶縁塗料で減少、あとはほぼ横ばいという状況です。

1事業所あたりの出荷金額の結果は少々驚きでした。電気絶縁塗料が非常に大きな金額でした。去年まで統計解析に入れていなかったのですが、今年は入れてみて驚きました。その他の品目は言わば似たり寄ったりですがとにかく電気絶縁塗料の一事業所当たり金額は群を抜いて大きな金額でした。しかもどんどん大きくなっています。この電気絶縁塗料の製造事業所は2024年で25か所あり、出荷金額も3000億円ちかくにものぼります。これほど大きな需要があるとは認識していませんでした。
次にそれぞれの品目の規模別の出荷金額、事業所数、1事業所あたりの出荷金額を図示します。

先ほど電気絶縁塗料の1事業所あたりの出荷金額が非常に大きいと述べましたが、その理由は規模別の事業所数にあります。半数近くが100人超の規模であるという品目は他にはありません。多くは20~99人が最多であり、その他塗料および関連製品については、1~9人が最多となっています。

溶剤系合成樹脂塗料、水系合成樹脂塗料は、製造事業所が品目中最多の品目です。全452事業所のうち半数以上が溶剤系合成樹脂塗料を、1/3強が水系合成樹脂塗料を製造していることになります。最多従業員規模はいずれも20~99人です。

無溶剤合成樹脂塗料を構成する品目は主として粉体塗料とトラフィック塗料です。無溶剤合成樹脂塗料は主にこの二つが主たる塗料になります。シンナーを製造する事業所は140事業所と全事業所の1/3近くを占めます。溶剤系合成樹脂塗料、その他塗料、水系合成樹脂塗料について4番目に多い品目となります。シンナーで興味深いのは、1事業所あたりの出荷金額が規模別の順番になっていないことです。これは他の品目では見られません。シンナー専用事業所かどうということがこの現象の理由かと推測しています。

最後のその他塗料ですが、まず製造事業所数が200を超えていることに驚きを感じます。全体の出荷金額も経産省確報から見るとずいぶん大きな気もします。その他塗料およびその関連製品という名前からではその内容を測り知ることはできません。
最後に、前述した経産省確報との差について品目別に比較してみました。経済構造実態調査にある「油性塗料」は経産省確報にはない項目です。異論があることは承知で、アルキド樹脂塗料を確報における油性塗料として比較しています。図中の数字は、経済構造実態調査の出荷金額に対する確報における同じ2024年の出荷金額の比率です。すべての品目で経済構造実態調査の方は上回っています。産業編のところで述べましたように、こうした各品目の製造において塗料製造事業者が占める割合はすべて90%を超えており、この大きな差を埋めるものが思いつきません。
特に、電気絶縁塗料、その他塗料では大きな差があります。

シンナーだけはまあまあ近い数値になっていますが、残りの品目はとても同じ品目に対する統計数値とは思えないほど異なっています。この時点でどちらが正しいのかという議論は無理ですが、なんとかこの差を埋めるための情報収集は心がける必要があると感じています。6千億産業と1兆3千億産業では、だいぶ響きが違います。