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かんとこうブログ

2020.03.16

クラスター≠集団感染

この頃毎日のように「クラスター感染」という言葉が報道されています。この「クラスター感染」は、ある特定の場所を起点として拡大した集団的な感染のことを指しているのですが、「クラスター」そのものは、感染症用語でもなく、普通の言葉であり、もっと言えば化学の世界でもある特定の意味を持って使用されることばです。どうも「クラスター」=集団感染 のような受け取られ方をされてしまいそうに思われて仕方ないので、今日は「クラスター」について書きます。

 「クラスター」は英語です。もともとの意味は、1.〔果実・花などの〕房、塊、2.〔同種の物・生物などの〕集団、一団、3.《天文》星団 です。以上は名詞ですが、これから派生した動詞もあります。(以上 英辞郎 on the web)何らかの形でひとくくりにできる集団というようなことでしょうか?

 これが化学の世界で使われることになると、集団をつくるのは、原子や分子となります。分子や原子が数個から数十個もしくはそれ以上集まった状態を「クラスター」と呼んでいます。と書いてくると「クラスター」ってそんなに小さいのか?と思われる方もいらっしゃると思います。そうです。化学の世界の「クラスター」はとても小さいのです。分子も原子もとても小さく、それが数個や数十個集まった「クラスター」は、気体・液体・固体・表面に加え「新しい相」のひとつと考えられるほどの大きさで、「ミクロとマクロの連絡橋」とも呼ばれています。

水のクラスター構造 模式図

  材料が微小化し、いわゆる「ナノスケール(数十nm)」以下になると材料の基本的な物性が大きく変化します。これは単位質量あたりの表面積が飛躍的に増大し、バルク(塊)としての性質が失われていくからです。こうした特異な性質を持つ「クラスター」については、様々な研究が進められています。

 「クラスター感染」はなんとか封じ込める必要がありますが、「クラスターの研究」はどんどん進めてもらい、人類の進歩に貢献してもらいたいものです。

水のクラスターの模式図は下記のサイトより引用しました。
https://www.con-pro.net/readings/water/doc0003.html

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