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かんとこうブログ

2020.05.19

二次感染の起きる時期についての発見

昨日の朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/articles/ASN5G5SFNN5GULBJ013.html)

で、台湾のコロナ対策医療チームが発表したデータが紹介されていました。結論から言うと、発症してから6日以上経過した場合には他人を感染させることはなかったというものです。こう聞くととりあえず2週間は隔離、という今までの対応は何だったのかという気がしますが、どのようなデータか気になります。幸い同サイトから、原読むことができましたので、もう少し詳しくデータをご紹介します。

 今年の1月から3月までの期間、台湾の100人の感染者について、それらの濃厚接触者2760人について、二次感染の有無と感染者との濃厚接触を始めて行った時期について整理したものです。結果は極めて明瞭です。

 左の表が濃厚接触者の内訳と最初の濃厚接触時期です。濃厚接触者の内訳は、同居家族151人、非同居家族76人、医療従事者697人、その他が1836人でした。同居家族は、最初に濃厚接触した時期が「発症前」というのが最も多くなっているのに比べ、家族以外では、最初の接触時期は遅くなる傾向にあります。濃厚接触者の他の要因、例えば男女比率はほぼ均等で、年齢分布も特に偏りはありませんでした。

 右の表は、二次感染者について整理したものです。最初の濃厚接触時期についてみれば、結果は一目瞭然で、最初の濃厚接触時期が発症から6日以降では二次感染者が出ていません。また、濃厚接触者の内訳では、やはり家族が二次感染する率が高くなっていますが、家族の場合には、最初に濃厚接触した時期も早いことも影響していると思われます。また医療従事者の感染も比較的多く感じますが、これも二次感染が最初の濃厚接触時期が発症前や直後に限られており、調査時期が今年の1-3月であったことを考えれば、コロナウイルス患者と認識されずに十分な防護体制がとられていなかった可能性も考えられます。

 この朝日新聞デジタルサイトでは、台湾の研究例の他にドイツの例も紹介しており、発症後8日目以降ではウイルスの分離培養ができなくなり、もはや感染力を失っているのではないかとする研究例が挙げられています。

 この研究例を見て驚くのは、台湾がこうした早い時期に系統だった検査をしておりそれを報告書にまとめていたということです。よく知られているように、台湾は新型コロナウイルス感染症に関しては最も優れた対応をし、感染者は500名以下、死亡者も7名という少なさでした。本来であれば、今行われているWHOの総会にオブザーバー参加し、その優れた感染症対応を世界に報告してもらえたのにと残念に思います。

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