かんとこうブログ
2021.05.15
上場13社の2021年3月期決算が出そろいました
5月14日をもって塗料製造会社上場13社の決算が出そろいました。冒頭から横道にそれますが、こうして13社の決算数値を調べる時にいつも気になることは、この13社の中にいまだにホームページに自社の決算短信を載せない会社があることです。もちろん公表された決算短信は、さまざまなサイトに転載されているので簡単に見ることができるのですが、自社のサイトに掲載されているのが自社の作成の事業報告書だけで、有価証券報告書ともども決算短信がホームページから見れないというのは経営姿勢としてどうなのか?と思いました。この会社のホームページにはIRと名の付く見出しもありません。
話を戻します。とりあえず13社の決算一覧表を示します。このうち日本ペイントHDは、決算期が1-12月で他の12社とは異なっていますが、この表では1-12月の数値を示しています。正確に対比するには、昨年の第1四半期と今年の第1四半期の数値を入れ替えれば理屈上は計算できますが、そこまではしておりません。とりあえず日本ペイントHDだけ時期が違うことを頭にいれて表をご覧ください。
全般に前年比の欄における赤字表記が目立ちます。日本塗料工業会の2020年1-12月の塗料生産数量の前年比は91%程度でしたので、各社の売上も平均してその程度は落ち込むと考えればだいたいそれに沿った数値が並んでいるかと思われます。期末での、売上と営業利益の前年比%をグラフにしてみました。
売上の落ち込みは、日本ペイントHD(短信ベース)とアサヒペン、アトミクスを除くと一桁%から10%台のマイナスであり、日塗工の生産数量前年比と大きく変わりませんでした。しかし、営業利益となると各社でかなり差がでています。主力とする分野の違いや収益力といったところで差が出るものと思われます。売上と営業利益の前年比%をマトリックスにしてみました。
ほとんどの会社の位置は第3四半期終了時点と大きくかわりませんが、緑字の会社は、そのポジションを改善しています。ほとんどの会社が売上と営業利益率を少しずつ改善してきたことがわかります。これは塗料需要が最悪だった第1四半期以降は大まかには回復傾向であったことによるものですが、13社の売上高の前年比%のグラフを各四半期終了時点毎にならべてみるとそのことがよくわかりません。比較のため各グラフの縦軸はそろえてあります。
興味深いのが、アサヒペンの売上高前年比%で、四半期を経過するごとに前年比%の数値が小さくなっており、他の会社と逆の傾向にあります。これは巣ごもり需要の推移と考えれば理解できるような気がします。いずれにしても、家庭用以外の分野では、第1四半期で大きく落ち込んだ需要を、各社がそのあと懸命に回復に努めてきたということがわかるグラフです。
さて、日本ペイントHDに話を映しますと、5月14日に新年度の第1四半期の決算を発表しました。主力である中国市場で大いに売上を伸ばしたようで、WEB会見で質問にたった記者から、「今年度の目標は楽々達成ではないか」というコメントが出るほどでした。同社の決算内容についてはここではこれ以上触れませんが、説明資料の中から2枚だけお借りして、同社が市場状況をどう見ているかをご紹介したいと思います。最初は第1四半期(2021年1-3月)の実績です。
これによれば、とにかく中国は好調であった、また汎用はオセアニア、米州も好調であった、日本だけがなんとかまあまあであったということのようです。詳しくは市況分析の欄をご覧ください。続いて第2四半期の予想です。
これによれば、第2四半期(4-6月)の自動車は日米とも好調、汎用は中国、米州が好調ということで全体的に堅調の予測でした。これら2枚の資料は以下の資料から引用させていただきました。
https://www.nipponpaint-holdings.com/assets/files/name/20210514ir02_j.pdf
以上簡単に上場13社の決算内容についてご紹介しました。なにがしかの参考になれば幸いです。