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かんとこうブログ

2021.05.12

総務省家計調査に掲載されている驚きのグラフ

5月11日に総務省の家計調査3月及び20211-3月の結果が発表になりました。今日はこの結果をご紹介します。私の関心は、消費動向であり、3月および1-3月の数値がどうかというところだったのですが、幸いにも3月の消費支出は、前年同月比が4カ月ぶりにプラスとなり実質で+6.2%となり一安心というところでした。

家計調査報告(二人以上の世帯)-2021年(令和3年)3月分及び13月期平均- (stat.go.jp)

この家計調査は 8000以上の世帯について毎月調査が実施されています。

ところがこの報告書を眺めているうちに驚愕のグラフが存在することがわかりましたので、それを最後に紹介します。その前にこの4年間の四半期ごとの総世帯の消費支出と勤労者世帯の実収入の推移をご紹介します。報告書にはこのような図が掲載されていました。 

上の図が総世帯の消費支出の前年同期比、下の図が勤労者世帯の実収入の前年同期比です。ざっとみるとどちらも2015年からだいたい横ばいであり、大きな変化がコロナ禍の2020年に起きたというように見て取れると思います。ここで面白いのは2020年の支出で、第二四半期に大きなピークがあります。コロナ禍で収入が増えた?そんなことはりません。これはひとり10万円の特別給付金のせいです。支出と収入を対比してみると麻生財務相がぼやいたように、給付金は貯蓄にまわったというのはその通りのようです。メディアではこの二つのグラフあたりを報道しているようですが、この報告書には生の数字が載っていましたのでこれをグラフにしてみました。単なる前年同月比のデータよりは全体的な傾向が良くわかるのではないかと思います。

数値は2017年からしか掲載されていませんので報告書のグラフとは期間が若干異なりますが、これらの図のよいところは全体の増減傾向がわかることで、近似式もグラフ機能を使えば簡単に求まります。誤解をおそれずに言えば、消費支出は減少傾向、実収入は増加傾向ということで貯蓄志向が強まったと言えそうですが事態はそう簡単ではありません。消費支出は総世帯ですが、実収入は勤労者世帯のみで無職世帯は含まれません。つまり母集団が違うのです。また、これからお見せするように総世帯、勤労者世帯とも一世帯あたりの人数が減少し続けています。念のために消費支出と実収入についてそれぞれひとりあたりの推移もグラフにしてみました。当たり前ですが、それぞれの傾向が緩和されています。

人数の減少について回帰式を求めてみました。相関係数は両者とも0.8を超えています。この回帰式によれば、総世帯の方は、1年で0.02人ずつ、勤労者世帯の方は1年で0.03人ずつ世帯当たりの人数が減少しています。大したことないようですが、このまま続けば総世帯の平均人数が13年ほどで2人を割り込むことになります。

この世帯の人数の減少だけでも十分に驚きでしたが、もっと驚きのデータがありました。

なんとなくわかっていましたが、こうしてグラフでみると驚きます。無職の世帯が3割を超えているという事実です。そしてその割合はまだ増加傾向にあるとみなければなりません。この図はあまり目立たないところに参考図として載っているのですが、この報告書で最も重要なのはこの図ではないのかと思いました。

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