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かんとこうブログ

2021.05.19

東京都の人流と実効再生産数について

ようやく東京都の新規感染者数が減少し始めた感があります。以前より気になっていた、人流と実効再生産数の関係について検討してみたいと思います。と言っても手元にあるデータは、人流についてはアグープが発表した休日の午後3時の感染拡大前との比率のデータしかありませんので、このデータを使って実効再生産数の推移と比較してみることにしました。

上の3つのグラフについて説明します。左上はアグープで継続して発表していた東京都18カ所について、昨年の12月から今年5月の連休までの人出(感染前に昨年12月の休日の平均値に対する%)の平均値を示します。

黄色い網掛けをしている期間が、緊急事態宣言が発令されていた期間にあたります。東京都と周囲3県の平均値の推移をしめしています。1月の緊急事態宣言発出直後は50%程度にまで減少した人出が、その後次第に増えていき緊急事態宣言解除時及びその後しばらくの期間は、70%程度にまで増え、さらに425日からの緊急事態宣言再発出で再び50%を下回る数値になっています。これに比べると周囲3県の平均値は常に東京の平均値よりも高く、かつ今回の緊急事態宣言では、対象とならなかったこともあり、人出は目に見えて減っていません。

左下の図は、新規感染者数から計算した実効再生産数です。人出と実効再生産数を比較してもらうと良く似た形をしているように見えます。この両者の相関を調べたのが右の図で、実際にプロットするとR2乗値は相関ありとするには低い数値になってしまいました。仮に相関ありとすれば、以下のような結論が導かれます。

人流が感染拡大前の50%程度を下回れば、実効再生産数も減少に転じる。

人流が感染拡大前の60%を超えれば、実効再生産数は増加に転じる。

誠にシンプルな結論です。しかしこうした結論を導くにはデータの数や精度がどう見ても不足ですので、従来から主張しているように、専門家による公的な検証をしてほしいと強く希望します。

以下はあくまで参考データです。新規感染者数のデータは休日のみならず平日分も閲覧可能ですので、これを使って昨年12月から今年の5月の連休までの毎日の実効再生産数とその7日間の移動平均の推移を計算してみました。

これから明らかなように、実効再生産数は正月休みから減少に転じ、1月下旬に底を打った後、次第に増加し2月下旬に1.0を超えました。その後増加し続けたものの4月上旬から減少に転じているということになります。一方新規感染者数の推移は以下のようになります。

棒グラフが毎日の新規感染者数、赤線がその7日間の移動平均です。実は先の実効再生産数は、感染してから新規感染者として発表されるまでの期間を13日間として計算していますので、必然的に約2週間のタイムラグがでるのですが、それにしても新規感染者数の振れ幅の大きさには改めて驚かされます。

最後に繰り返しになりますが、東京都では7割リモートワークとか実現不可能と思われる要請をしています。夢物語ではなく、実際の人流データに基づいたシミュレーション結果としての人流削減を要請してもらいたいと考えます。

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