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かんとこうブログ

2021.07.07

ワクチン配送量について整理してみました

昨日河野特命担当相が89月の自治体へのファイザーワクチンへの配送量について発表し、「89月とも7月とほぼ同量送付する」と発表しました。このワクチンの配送量については、自治体から「さんざん急がせたあげくに、はしごを外された」と批判がでているようですが、実際のところどうだったのか整理してみることにしました。

ワクチン配送量については、厚生労働省のサイトに63日付の計画表があることがわかりました。

もっと大きな表から医療従事者以外の部分を切り出しているので不鮮明な図で細かい字が読みにくいと思いますが、大事なことは、赤枠で囲った部分に5月から7月までの配送予定は6月に発表されていたということです。つまり7月までの予定は6月の時点ですでに提示されていたが、(昨日まで)89月の分は未発表であった」ということです。

この配送計画ですが、あとで説明するように、56月に比べて7月が少なくなっていたのです。これがわかり地方自治体から非難の声があがります。630日付の産経新聞ニュースから引用します。

引用したグラフは正確に書かれていますので、赤線を見てもらえれば、ワクチン配送量の推移がわかると思いますが、たしかに6月後半は16000でしたが、7月前半は10600にまで減少しています。また棒グラフは各自治体からの希望配送量の合計を表していますが、実際の配送量を上回る量が希望として出されていることがわかります。ただでさえ希望量全部がもらえないのに、7月からさらに供給が減るのでは大変であるとして全国知事会が懸念を表明したと報じられています。

この後の配送量については、72日のNHKニュースと昨日の河野担当相の発表を報じた毎日放送ニュースの抜粋を示します。

一応これで4月から9月までのファイザー製ワクチンの配送実績と配送計画の全容がわかりましたので整理してみます。

月別に供給数を見ていくと、4月が666万回分、5月が3748万回分、6月が3452万回分、7月が2527万回分、8月が2340万回分、9月が2340万回分となります。確かに56月に比べて7月以降は、それまでの7割程度に減少することになりますが、これまで見てきたようにそのことは既定路線であったように思えます。

それえで、この配送計画とこれまで政府の方針とされてきたこととの整合性はどうなのでしょうか?

7月末までに全国の高齢者の接種を完了させる・・・4月から6月までの配送量で高齢者人口すべてに2回接種する分を上回ります。むしろ方針に沿うように配送したようにも思えます。

一日100万回接種・・・56月は平均すれば一日100万回接種できる量が供給されました。しかし7月以降は、在庫を持っていないとすれば一日平均100万回は無理です。

10-11月までに希望する国民すべての接種に必要な分を供給する・・・これも対象者を若年者を除いたものとすれば、1億1000万人程度となり、さらに希望者に限れば1億人程度となるであろうこと、これら以外にはモデルナ製も供給されることを考えれば十分可能だと思われます。

以上、これだけ見るとそうおかしなことにはなっていないように思えます。ほぼ既定路線通りに配送されており、大まかな日程は外れていないように思えます。しかし一方で自治体の希望するとおりには配送されていないということも事実です。72日の朝日新聞に7月後半に配送されるファイザーワクチンの都道府県ごとの希望量と実際の配送量の数値がありましたので、グラフにしてみました。ここでは配送量合計が8000箱となっているので実際にはもう少し増えるとは思いますが、このままであれば都道府県の希望量の3割しか配送されないということになります。

さらに指摘すれば、黄色で示した緊急事態宣言地域、赤で示したマンボウ地域への配送割合にも、特別な配慮が感じられないということです。これでは都道府県から不満がでるのも無理はないと思います。

一方、政府は、まだ自治体は在庫をかなり持っているのではないかと言っています。現在までの高齢者等医療従事者を除く人たちへの総接種回数は、39761523回であり、これは45月の合計配送量よりも少なく、まるまる6月配送分のワクチンが未接種で残っていることになります。政府の指摘にも一理あります。

以上みてきたように、ワクチンの配送については、当初の計画通り、ほぼスケジュール通りに実施されてきたような印象を受けます。そして全体の接種計画としては齟齬はないのではないかと思われます。しかし、一方で自治体の配送希望とは歴残たる差異があり、自治体からみればせっかく体制を整えたのにはしごを外されたという思いになることも無理からぬことだと思います。

どうしてこのようになるのか?それは長期的なビジョンを国民に示さないことに尽きるのではないかと思います。大規模集団接種にしても、職域接種にしても突然発表され、則実行されました。

自治体の希望通り配付するためにはファイザーやモデルナからからの供給計画を変更してもらうしかありません。それができないのであれば、その旨国民に対して丁寧に説明し陳謝したうえで、いきあたりばったり的な措置ではなく、もともとの供給計画に見合う接種計画を粛々と実行していく他はありません。そして後日なぜこのように周回遅れの接種になったのかを検証し、しかるべく対策を講じることがとるべき道ではないかと考えます。

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