かんとこうブログ
2021.07.29
感染者急拡大に関して心配すること・・果たしてワクチン頼みで大丈夫なのか?
昨日の新アルコール東京都で3000人超え、神奈川県で1000人超え、全国で9000人超えとすさまじい勢いで増えました。これはひとえに今回の緊急事態宣言ではかつての緊急事態宣言ほど人流の抑制効果がないことにつきるのですが、こうなれば飲食店でのアルコール規制くらいではどうにもならないと思われます。となればあとはワクチンということになるのですが、そのワクチンについての気になるデータをご紹介します。
イギリスやアメリカなどワクチン接種の進んだ国でもデルタ株が猛威を奮っていると報道されていますが、最近7日間の新規感染者数、死亡者数を人工100万人あたりの数値で比べてみると下図のようになります。(データソースはいつもの札幌医科大学です。)
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/index.html?n=j&a=1&f=y&d=1
ここで見てほしいのは、日本はまだ欧米に比べて少ないということではなく、赤枠で囲ったワクチン接種の進んだ欧米諸国でもおびただしい数の感染者がでているということです。各国のワクチン完全接種率(2回以上接種)は同日付で下図のようになっています。
図から明らかなように、カナダとイギリスは全人口の50%を超え、ドイツ、イタリア、アメリカ、フランスも50%に近いレベルまで完全接種がきているのです。これまでこうした国の感染者はワクチンを接種していない人たちがほとんどであるとされていますが、それが正しいとしても、たとえワクチン接種が進んだとしても、変異種によって感染が急拡大しているという事実は覆りません。次に最近7日間の人口当たりの死者数をみてみましょう。
コロナによる最近7日間の死者数の世界平均は人口100万人あたり7.5人です。ところがイギリスやアメリカの人口100万人あたりの死者数はほぼこれに近い数字です。これだけ見ると果たしてワクチンに重症化抑止効果があるのかも疑問に思えてきます。
今はもうすでに、どこかの首相のように、「1回目接種率が40%に達すると感染が減少する」などとのんきなことを言っている事態ではないのです。60%の人が免疫をもてば感染は拡大しないようになるという集団免疫論の根拠は、基本再生産数が2.5である場合であり、この数値が変われば、集団免疫に必要な抗体保持者の割合はずっと上昇するのです。
現在、感染対策の唯一の希望はワクチン接種です。供給の問題もありワクチン接種の進展スピードは一時の勢いはありませんが、それでも着実に進展はしています。しかし、欧米諸国の状況を見ると、現在のワクチン接種の進展スピードで果たして医療崩壊を阻止できるのかどうか、疑問に思えてきます。現在の状況について、真剣かつ科学的に吟味をして、そのうえで必要あれば、国民に対し真摯に理解と協力を求め、新たな抑止策を採る必要があるのではないでしょうか?