かんとこうブログ
2021.08.26
いつの間にかインドの感染が沈静化!その理由は?
8月22日のテレビ朝日の「サンデーステーション」でインドの最新の感染状況が紹介されていました。ひところには一日の感染者数が40万人にも達していたインドですが、現在では感染者数が大幅に減り、街は平静を取り戻したというのです。世界最大の感染者数と火葬が間に合わないほどの死者が出ていたインドがなぜ急に平静をとりもどせたのか、感染拡大に悩む日本にとってはぜひ知りたいところです。そこで今日は、番組の放送内容とそれに関してのネット情報をご紹介することにします。
まずは現在の感染状況からです。札幌医科大学のコロナ特設サイトのグラフから引用します。
最近7日間の人口100万人当たりの新規感染者数はなんと日本の約1/10です。いつの間にか感染が沈静化しているのは本当のようです。番組では、街の様子も紹介されていましたが、人々が買い物や食事を楽しむ様子が映し出されていました。
では、なぜあれほどの感染拡大が沈静化したのか・・番組では以下の2つの理由が説明されていました。一つ目は厳しいロックダウン、二つ目は集団免疫でした。番組ではロックダウンの内容については紹介がありませんでしたが、ネットで内容は知ることができます。
下の図は教育、職場、家庭、国境においていつどのような措置が取られたかを示しており、横軸は時間軸を表し、左端が今年の1月1日、右端が現在です。薄い白線のグラフは感染者を表しており、感染のピークは6月から7月にかけてであったことがわかります。そしてこの感染ピークに対応して、地域ごとに教育、職場、家庭のすべてで移動制限が行われていたようです。国境も2月終わりから現在に至るまで何らかの入国制限が続いています。
ただし、こうしたロックダウンも全国規模では行っていないようですので、果たして厳しい措置だったのかはよくわかりません。
一方の集団免疫はどうだったのでしょうか?番組では、インド政府 専門家会議メンバーである アミット・ダット医師の話として、「インド全体の抗体保有率が70%という結果がでました。インドが“集団免疫”を獲得したことを意味します。(感染者の激減は)これが一つの理由になっているでしょう。」と紹介しています。その証拠としては「インド政府が6月と7月に行った調査によると、主要な8州で70%以上の人に抗体が確認されたことが分かったのです。人口13億人を元に単純計算すると9億人がすでに抗体を持っていることになり、「集団免疫」によって感染者数が激減した可能性があるのだ」といいます。
しかしながら、これはにわかには信じられません。なぜなら公式に発表されている累計感染者数は100万人あたり23532人にすぎません。13億人に換算しても3059万人にすぎません。9億人が抗体をもつということは、感染者とワクチン接種者の合計が9億人になるということですが、インドのワクチン接種率は9%に過ぎず、公式の感染者とワクチン接種者を合わせても1億5000万人足らずです。
これに対し同医師は、「インドではこれまでに40万人が亡くなったと報告されています。しかし実際の死者数は不明です。もっと死者は出ていたでしょう。報告よりもずっと多かった可能性が高い。」と説明していますが、どうでしょうか?インド政府が行った主要8州での調査結果の詳細がわからなければ判断のしようがありませんが、参考までに言えば、いまだに集団免疫により感染を収束させた国はありません。高いワクチン接種で知られるイスラエルやチリでも感染が収束していません。
番組からのメッセージとして、「決して自分たちの真似をしないでほしい」という言葉が送られていましたが、それはもちろん、大規模感染を経て
集団免疫の獲得の事を指しています。頼まれなくとも、これ以上の感染爆発を経過しての集団免疫などこちらから願い下げです。やはりインドでの感染収束は、集団免疫獲得ではなくロックダウンの成果であると考えたいと思います。
インドの最新情報をネット探しましたが、ほとんど情報がありませんでした。御存知の方がいらっしゃればご教示ください。