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かんとこうブログ

2021.08.18

昨晩の記者会見に纏わる数字について

昨夜、政府から新たな新型コロナウイルス対策として、既に緊急事態宣言を発している都府県、蔓延防止等緊急措置の対象道県に対する措置の延長と、新たに緊急事態宣言の対象となる7県と新たなマンボウ対象県10県の指定を発表しました。その際に、具体的な対策として、医療体制の強化と感染防止策、ワクチンの推進を3本柱として挙げていました。感染防止策については、数値がところどころ顔を出すものの全体的に定量的なイメージが得られない話だったので、自分なりに整理してみました。揚げ足を取るであるとか揶揄するとかではなく、数量的なイメージがある方が国民には分かりやすいだろうと思うからです。今日はそれらの数字をご紹介します。

最初の話は、出勤を7割削減すると何万人の人出が削減されるのか?です。正確な計算はとても無理ですが、概算なら簡単です。全国の就労者からエッセンシャルワーカーなど削減できない人たちを除いた7割を計算してみました。

下の左部分をご覧ください。全国の就労者は6862万人ですが、社会活動を維持するのに必要なエッセンシャルワーカー、交通要員、宿泊要員を除き、さらにオフィスワーカーの割合(全体の35.6%)をかけるとリモートワーク対象の就労者数が得られます。意外に少なく、全国で1368万人という数字になりました。オフィスワーカーの7割は958万人となり、7割リモートで現実的に想定される削減効果は1000万人弱となりました。

一方ショッピングセンターとデパートの入場制限については、基本的に入場制限だけでは人流は減らないのですが、どの程度の人出があるのかということを計算してみました。下の図の右側の部分です。

ショッピングセンターは全国に3000箇所以上あり、店舗数や売上、売り場面積の統計はあるのですが、来客数の統計は見当たりませんでした。調べていくと全国トップ10の売り上げと入場者数の数字があり、ひとりあたりの売上金額はほぼ2000円と一定であることから、ショッピングセンターの総売上から総来場者数を計算することにしました。デパートの場合も同じように計算しました。その結果、ショッピングセンターは全国で1日あたり3425万人、デパートが725万人になりました。仮に入場制限ではなく、現在の来場者の半分しか来場しなくなるとすれば2074万人の人流が削減できることになります。


東京都の小池知事は、買い物は2回に1回にしてほしいと要請していました。確かに買い物を2回から1回に減らすことはかなり効果があると思われます。

リモートと買い物削減ではこういった数字になりました。実際には、これよりもはるかに少ない人流抑制になるでしょうから、尾身会長が訴えていた緊急事態宣言前の
5割減という条件が満たされるとは思えません。であるならば、さらに追加で人流抑制のための施策を提案する必要が出てきます。オフィスワーカー以外でもリモートワーク可能というケースがないわけではないですが、オフィスワーク以外ではやはり圧倒的に少数派であると思います。人流の抑制が困難であれば、行動の変容を徹底してもらうことも一つの方策ではないでしょうか?

参考までに、就労者の中でのオフィスワーカーの割合を示す資料を掲載しておきます。

最後にもう一つだけ数値をご紹介します。それは今回の緊急事態宣言および蔓延防止等緊急措置の対象になった都道府県と対象にならなかった県の県民経済と人口の割合についてです。県民経済とはGDPの都道府県版です。総合計は日本のGDPに等しくなります。

今回の緊急事態宣言および蔓延防止等緊急措置の対象になった都道府県を合わせると、県民経済と人口ともに8割を優に超えます。都道府県の数で言えば、対象都道府県数は29で全体の約6割強ですが、人口や経済では8割強なのです。メッセージ発信の方法として、都道府県数で説明するのではなく、経済と人口で説明し、日本の大部分は緊急措置を必要とする大変な事態であると説明した方が、国民の理解と協力を得る上でよかったのではないかと思っています。

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