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かんとこうブログ

2021.10.08

改めてリーマンショック時と比較してみる景気と消費

かねてから内閣府の統計に、消費動向調査と景気ウオッチャー調査があり、似たような調査が行われているのに調査結果の指数の絶対値が10ポイントほど違っていること、そしてそれは、調査の対象が消費者側(消費動向調査)と提供者側(主に事業者)の差ではないかということを書いてきました。

9月の消費動向調査の結果が101日に、景気ウオッチャー調査の結果が108日(本日)に発表されました。その結果を見ながら、改めてリーマンショック時と今回の違いについて考えたことを書いてみたいと思います。まずは、消費動向調査の結果からご紹介します。

2008年から10年にかけてのリーマンショック時と2021年から現在までのコロナ禍を比べてみると、一番の違いはその推移の軌跡が全く異なることにあります。リーマンショック時は、あたかも氷河に削られた谷のように谷底の形状がU字型をしているのに対し、コロナ禍では鋭く尖った形状が繰り返し現れ次第に底の深さが浅くなっています。そしてそれぞれの鋭い谷底は、第1波から第5波の感染拡大時と重なっています。

この様相は、景気ウオッチャーも同様です。

細かにみれば、景気ウオッチャーの振幅の方が大きいようですが、谷の形状については上のグラフと同じです。これは言うまでもなく、消費者も事業者もそのマインドを支配してきたものは、感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言であったということを意味するのだと思います。これが、ただ1回の衝撃で終わったリーマンショック時との違いです。

ただ細かく見ると、時間を経るにしたがい、こうした感染拡大/緊急事態宣言による消費や景気への影響度はだんだんと小さくなってきたように見えます。感染者や死亡者の数からいえば最も深刻であった第5波による指数の落ち込みはこれまで最多となった感染者数ほどではありませんでした。やはり感染拡大に対する慣れができたのでしょう。経済回復への下地は整ってきたようです。

いずれにせよこの二つの調査結果を見る限り、感染拡大さえ抑止できれば消費/景気マインドは落ち込まないことだけは確かですが、昨今の世界の経済状況を見るに、多くの国で感染と経済停滞を切り離す試みがなされ奏功しているようにも見えます。そしてその背景にあるのは、いざという時の医療体制への信頼にあるように思えます。行動制限の緩和が検討されていますが、これが広く国民に受け入れられ、感染と経済停滞の連鎖を断ち切るためには、いざという時の医療体制の拡充が必要です。第6波に備えるということにおいて最重要課題は医療体制整備にほかなりません。野戦病院のようなその場しのぎの対策ではない抜本的な整備を期待してやみません。

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