かんとこうブログ
2021.10.26
人流依然増加、3県は感染拡大前に戻る
この週末の人出は依然増加していました。特に東京の周辺3県(埼玉・千葉・神奈川)の土曜日の平均は感染拡大前2020年1月~2月における休日の平均を上回りました。いつものようにアグープのデータを引用してグラフを書いています。(東京都18か所。3県12か所)
右端の赤い楕円部分がこの週末の人出で、好天に恵まれたこともあり、3県の12か所の平均が今年初めて感染拡大前の平均を超えました。8月14日を底として以降2か月以上人流の増加が続いています。
一方で実効再生産数の推移は人流増加とは異なる動きになっています。まずは東洋経済法の計算式で作図したグラフからご紹介します。
上のグラフは7月1日からの推移を、右のグラフは直近30日間の推移です。実効再生産数も8月14日付近を底として0.60前後を推移しています。直近30日間のグラフから近似線(直線)を導くとわずかに傾きはプラスになりますが、ほぼ横ばいとみるべきでしょう。
別な方法(従来から当ブログで採用している方法)で計算してみた結果も同様です。
この方法では現時点の13日前までしか計算できませんが、やはり8月14日を底として0.5前後を推移しています。直近30日間の近似式を求めても傾きはわずかにプラス、ほぼ横ばいとみるべきという点は、上の東洋経済法と変わりません。
したがって、「まだ感染者数は激減中で、上昇の兆しは見られません」というのが結論です。一部の「専門家」が青森や北海道で上昇の兆しがあると言っているようですが、そもそも感染者数が非常に少なくなっている現在、各都道府県別の一日あたりの感染者がゼロであることが珍しくなく、そのような少ない感染者数で計算された都道府県の実効再生産数に統計的にみてどれほどの有意性があるのか私は疑問に思います。
それはそれとして、ひとつ心配材料を挙げておきます。それは2回ワクチン接種者の感染阻止率です。
首相官邸ホームページにはワクチン接種履歴別の感染者データが掲載されています。最新の10万人あたりの感染者データは以下のようになっています。
10月11日から17日までの人口10万人あたりワクチン履歴別感染者は上の表のようになります。これをもとに2回接種者の感染阻止率を計算するとその下の表のようになります。以前に計算した数値も一緒に載せておきました。
接種後時間が経過すると抗体数が減少し、感染リスクが高まると盛んに警鐘を鳴らす人がいますが、「リスクが高まる」というだけではなく具体的な数値で示さないと国民に危機意識を共有できないのではないかと思っていました。8月から9月、さらに10月と感染阻止率は低下してきています。特に65歳以上では、毎月4%ずつ低下している計算になります。
とはいえ、まだ感染阻止率は全体では87%、65歳以上でも84%もあるのです。無症状の感染者が補足できていないという指摘もありますので、この数字が正しいかどうか議論のあるところですが、少なくとも医療の逼迫という観点では意味のある数字であると考えています。
この数値を見て感じるのは、やはりPCR検査の拡充、さらにはゲノム解析です。喉元を過ぎたので忘れてしまってはいませんか?