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かんとこうブログ

2021.11.29

変異種オミクロン株について、今わかっていること

南アフリカで発見された新しい変異種であるオミクロン(o)株は、どうやら今まで以上に感染力が強く免疫逃避の可能性が高いとの見方が広がり、世界的に株価や原油価格に影響が現れました。今日は、このオミクロン株について調べたことをご紹介します。

ネットで調べていくと、どうやらそもそものデータの出どころは南アフリカ保健省の発表であるようでしたので、この発表内容からご紹介します。南アフリカ保健省が11月25日に発表した定期的なCOVID-19に関する状況報告で、オミクロン株についての報告がされていました。(興味のある方は下記URLをご参照ください)

https://sacoronavirus.co.za/2021/11/25/sars-cov-2-sequencing-new-variant-update-25-november-2021/

オミクロン株(B.1.1.529)についての要約は以下の内容でした。


ハウデング州はヨハネスブルグのある南アフリカ中央部の州

この内容では、具体的なことがほとんど書いてありませんので、どうしてそこまで懸念をしないといけないのかがわかりません。読み進むと変異の様相についての記述は見つかりました。

この記述の要点は、①の「変異がとても多く、スパイクタンパクだけで30を超えること。」③の「これまでの変異種で見られた感染力の増強や免疫逃避に影響を与えたと考えられる変異の多くをもっていること。」④の「既知以外の変異はこれまで見たことがないものがほとんどで、影響については今の段階で分からないこと。」ということです。

さらにこれらの変異の影響については以下のように書いてありました。ここから、変異の影響がこれまでの変異種以上に警戒を要するものであることが理解できると思います。

③④から、これまでの変異種で見られたと同じ変異をもつことから、感染・伝播性が高い可能性があること。②から別な観点からも感染・伝播性が高い可能性があること。さらに①から抗体または中和抗体の中和作用が低下する可能性があること、が指摘されています。これが全部的中すればまさにこれまでにない強力な変異種となり得ます。しかも、これらはこれまでの変異種から予測できる範囲の内容であり、今回のオミクロン株は未知の変異がたくさんあり、未知の危険性も否定はできないのです。

こうした内容は、実は、日本の国立感染症研究所のサイトでも公表されています。(SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統について(第1報) 2021 年 11 月 26 日 )

https://www.niid.go.jp/niid/images/cepr/covid-19/b11529.pdf

国立感染研究所の発表には、オミクロン株の変異のうちスパイクタンパクのRBD(受容体結合ドメイン)における具体的な変異箇所が書かれていましたので、それをもとにこれまでの主な変異種との変異との対比表を作成しました。これはあくまでRBDに限定した変異箇所です。言うまでもなくRBDは、コロナウイルスが体内に入り細胞に侵入する際に、そのきっかけを作ってくれる受容体(ACE-2)と直接結合する部位であり、それだけにこの部位の変異は感染力の大小に大きく影響すると考えられています。 

一見して一番下段のオミクロン株の変異箇所が極めて多いことがわかります。オミクロンはスパイクタンパク全体では30以上の変異がありますが、RBDに限って言えばこれまでは3-5カ所しかなかった変異が10カ所以上もあります。
また赤字の変異については、すでにこれまでの変異種においても観察されており、感染力増強や免疫逃避に影響があると判別している変異です。オミクロンはそうした変異ももっています。客観的に見て十分に脅威となりうる変異株と言えるのではないでしょうか?

南アフリカでは、すでにこのオミクロン株が短期間内に優占種になっています。これまでのβやδに比べて極めて短時間で優占種の地位を占めました。下のグラフをご覧ください。青い色がオミクロン株です。

少しだけ良い情報もあります。それは、このオミクロン種の感染拡大は遺伝子解析をしなくても検知できるのではないかという情報です。特定のPCR検査をするとオミクロン株の拡大は、感染者のS遺伝子脱落が増加するという形で検出できるというものです。私自身PCR検査とS遺伝子の脱落の関係が理解できていませんが、南アフリカ保健省の発表ではそのように説明されていました。

このオミクロン株に関して、すぐに各国が南アフリカからの渡航制限に動きました。慌てた南アフリカの保健相が、「今の段階でオミクロン株に対するワクチンの効果に関して何ら明確なデータがない」と火消し発言をしたようです。しかし、すでにヨーロッパを中心に13か国にまで感染が広がっており、これまで見てきたように、各国があわてて警戒するだけの状況証拠はそろっています。今度こそ日本の水際対策が奏功するように祈らずにはいられません。

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