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かんとこうブログ

2022.02.10

現時点での感染状況の包括的理解

昨日(2月9日)は東京都の新規感染者数が今年に入り始めて前の週の同じ曜日を下回りました。かねてから予測したいたように、そろそろ新規感染者崇がピークを迎えそうだと感じています。この時点で今回の第6波というものを包括的に理解しておきたいと思います。すでに報道されていることばかりですが、まとめてみると少し違う印象になるかもしれません。

まず、新規感染者数、重症者数、死亡者数です。(資料は厚生労働省の2月9日時点のHPから引用)

記憶に新しい第5波を基準にして、第6波はどうなのかというまとめ方をしてみます。左から新規感染者数、重症者数、死亡者数です。図の表題下に簡潔にまとめているように、「第5波と比較して新規感染者数は2倍以上、重症者数は半分程度、死亡者は現時点で超えている」ということになります。

感染者の年代別的には累積値との比較データが示されており以下のようになります。

累積値では20代の突出が目立ちますが、今回の第6波では、それよりも下の年代10代、10歳未満からも多くの感染者がでていることがわかります。相対的には高齢者の感染者は減っています。

次に東京都に的を絞り年代別感染者・重症者数のデータを見てみます。データはNHK、日経新聞のサイトからの引用です。東京都でもさきほどと同様に10代以下の感染者が顕著に増加していることがわかります。一方、重症者の中での高齢者の割合も第5波と比べて多くなっています。これまで言われてきたように、一般には感染しても軽症であるが、基礎疾患のある高齢者は重症化しやすいということのようです。10代以下の感染者の増加と重症者中の高齢者割合の増加が第6波の特徴です。

次に入院者数、病床使用率、療養者数です。(下図はいずれも厚生労働省HPより引用)

このデータの日付である22日時点では、入院者数はまだ第5波をわずかではありますが下回っています。また病床使用率も同様にわずかに下回っています。一方、感染者が多いので当然と思いますが療養者数は3倍増しています。ここでも全般的には軽症者が多いことが透けて見えます。

しかしながら、こうした病床使用率の数字と医療の逼迫とは別問題であり、救急搬送ができなくなることも含めもはや医療全体が逼迫状態にあることは明白です。そのあたりをうまく表す統計指標が示されていないことが残念です。

最後に経路不明者割合とPCR検査状況です。(厚生労働省のHPから引用)

 

感染経路不明者の割合は意外に感染者の増減にはさほど影響されていません。第6波では家庭内感染が多いこともあるのでしょうか?一方検査状況でPCR検査の陽性率が異常に高いことが気になります。陽性率は7%を超えている場合には、市中の感染者を捕捉しきれていないと言われています。陽性率が40%に届こうというのは異常であり、この背景にある試薬の不足などの状況が誠に残念に思います。

 

この第6波についてまとめます。

感染者は極めて多く、年代別では今までと比べて10台以下が激増している。高齢者の感染者はむしろ今までよりも少ない傾向にある。

重症者は、感染者数の割には少ない。重傷者中の高齢者の割合は非常に高く、死亡者は決して少なくなく第5波を上回る勢いで増加中。

入院者、病床使用率は第5波に近くなってきた。一方で療養者数は激増し第5波の3倍近くになっている。報道されている医療の逼迫の現状をうまく表すような指標は存在していないため、切迫感が訴求されにくい。

PCR検査の陽性率が極めて高く、市中感染者の捕捉が不十分である可能性が高い。適切な対応をとるためにも、検査の拡充が必要な状況にある。

仮に新規感染者数がピーク達したとしても、感染者は急激に減少しません。医療の逼迫はむしろこれからが本番です。ワクチン接種も重要ですが、それにもまして個人個人のリスクを避ける行動が求められていると思います。

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