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かんとこうブログ

2022.05.27

意図的なワクチン未接種者の感染者数水増し?・・首相官邸ホームページ

なんとも驚きの事実に気が付きました。当ブログの513日掲載分に、「ワクチン未接種者の感染のみが激減・・空白の2週間で何が起きたのか?」という記事を書きました。その内容は44日~10日までの1週間と次の411日から17日までとの間で、未接種者の感染者数だけが激減したのです。その様子をグラフで示していますので、再掲します。

ワクチン歴別10万人あたりの感染者数の推移を示しており、左からワクチン未接種者、2回接種者、3回接種者です。未接種者のみが44日からの週と411日からの週との間で感染者数が大きく減少しているのです。こんなことは普通には起こらないことなので、一体何が起こったのか政府、首相官邸は説明すべきであると書きました。

昨日、首相官邸のワクチン歴別感染者数のデータが更新される日でしたのでネットで検索していたら、ある動画が投稿されており、首相官邸のワクチン歴別感染者数を感染抑止の指標として使うべきではないと主張していました。そしてそれとともに「つい最近まで、調査票のワクチン接種歴未記入者をすべて未接種者として統計処理していた」と耳を疑うようなことを言っていました。まさかと思って調べてみると事実でした。本当に信じられません。これでは「未接種者の感染者数を水増ししていた」ことになってしまいます。下に最新の発表データを示します。

 

表の下に多数の注釈が並んでいますがその2番目に未記入者の取り扱いの変更が淡々と書かれています。

赤枠囲った中身が示すことは、「ADB(アドバイザリーボード)に提出したデータのうち420日までに提出した分は未記入者を未接種者として集計していたけれど、511日以降の分は未記入者は経歴不明者として集計している」ということです。そして420日までに提出した最後のデータが44日~10日までの分であり、511日以降最初に提出されたデータが411日から16日分であったということになります。だからこの間で、未接種者の感染者数に急激な変化が起きたのです。おそらくADBではちゃんとこうした説明がされたはずですが、首相官邸の発表では脚注に記されただけで特段の説明はされなかったということになります。

 

 

これが未接種者の感染者数が急激に減少した理由です。それでは未記入者は一体どのくらいいたのでしょうか?これはワクチン歴不明者の割合を調べればわかります。手元に保存しておいた首相官邸発表資料から計算してみました。

 

 

1月初めから4月初旬まで、感染者全体に占める経歴不明者の割合は年代を問わずほぼ一定であり、15-20%の間を推移しています。411日の週以降は、ワクチン経歴不明者割合は急激に跳ね上がり35%程度で推移します。ということはこの差である15-20%が未接種者に分類された未記入者であると思われます。

つまり411日以前は経歴不明者とほぼ同数に当たる人数が、過剰に未接種者に繰り入れられてしまっていたということになります。それでは具体的な事例で、未記入者の集計区分の変化が10万人あたりの感染者数にどの程度影響があるのか実際に計算してみたいと思います。44日からの週と425日からの週について計算してみました。

?で表した経歴不明者の割合は、44日から10日までの週が16-18%、425日から51日までの週が33-39%でした。年代別にはさほど大きな差異はありません。この間で経歴不明者の割合が2倍強に増えたというところでしょうか?

これはどういうことかと言うと44日から10日までの週の経歴不明者とほぼ同数の人が未接種者の感染者の中に集計されているということになります。従って、44日からの週の未接種者の感染者から経歴不明者の数を差し引いた数が本来の未接種者の感染者数であると推定できることになります。この推定で10万人あたりの感染者数を比較してみます。

左が発表された44日から10日までの週の10万人あたり感染者の数です。これを上で述べたように未接種者の感染者から経歴不明者の数を差し引いて計算すると真ん中の表になります。こうなると未接種者と2回接種者の差は随分小さくなり年代によっては逆転しています。ただしこの処理をしても未接種者と3回目接種者の間にそれなりに差があるように思います。つまり正しく集計しても3回目接種の感染抑止効果はそれなりに認められるということになります。ただ、経歴不明者の数がかなり多くなり、しかもそのうちの相当数が3回目接種であろうことを考えると統計の有意性が怪しくはなります。

さらに言えば、こうして処理した44日から10日までの週の10万人あたり感染者数は、425日から51日までの週の10万人あたり感染者数とそれほど差がなくなっているとも言えます。つまりこうした処理をすることで統計数値の一貫性は担保できるということです。

本来こうしたことが判明した以上、1月まで遡ってデータを全部計算し直すべきかもしれませんが、もはやそれをする気力がありません。本ブログにおいて、1月から2月にかけて散々2回目接種でも十分な感染抑止効果があると言ってきたのは撤回してお詫びせざるを得ません。誠に申し訳ありませんでした。

優秀な頭脳を持って日本の中枢にいる官邸官僚が、どうしてこのような非合理的で理不尽な処理をしたデータを発表し続けたのか理解できません。また一言の謝罪もなく、細かな注釈の一行表示だけで済ませていることにも不快感を禁じ得ません。得られた教訓は「政府の統計は、注釈の一言一句まで読み、慎重に確認して使わないといけない」ということでしょうか?国民の信頼を失うような所業・・全くもって残念です。

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