かんとこうブログ
2022.08.08
Coatings World誌の2022年世界ランキング その1
Coatings World誌が毎年この時期に発表している世界の塗料メーカーのランキングがようやく発表になりました。例年7月初めであったのが、昨年は7月下旬、今年は8月初旬と遅れるようになりました。2022年のランキングは2021年度の売上金額(US$換算)のランキングです。売上高が1億US$以上の会社がリストアップされますが、今回は75社にとどまり前年から6社減りました。
まずは、世界のTOP30社のご紹介から始めましょう。
TOP30まで広げて見ると、大幅に順位を上げた会社が2つあります。SK SHUとSamhaです。詳細は解説でも読まないとわかりませんが、これまでの経験上、中国をはじめとするアジアの会社については、ほとんど突っ込んだ取材がないので、この両者の大躍進の理由は不明のままになると思います。
売上の増減については、単なる売上自体の増減に加え為替変動の要因が考えられます。このランキングでは、アメリカ以外に本社を置く企業の場合、当該会計年度末日の為替レートにより米ドル相当額を計算することになっています。後述するように日本企業の場合には多くは3月末が会計年度末日ですので、多少為替の影響をうけました。
なお次の表は、初めてランキング入りした会社とランキングから消えた会社です。
初めてランキング入りした会社は、同誌ではFirst Timerと呼ばれており、今回はインドネシアのAvia Avianだけでした。私はインドネシアに駐在していたのでこの会社をよく知っておりますが、この会社は多角的に事業を行っているAvianグループが新しく起こした会社であり、他の塗料会社との関係はありません。テレビコマーシャルを積極的に使い短期間で市場に一定の地位を占めました。現在はAkzoNobel、日本ペイントについでインドネシアの建築塗料の3番手となっています。
一方で消えた会社は7社あります。前回18位のAce Paint、前回21位のCromology、前回25位のTikkurila、前回42位のShanghai HFC、前回49位のKarworwag、前回56位のPintuco、前回75位のIndustria Titanの7社です。このうち5社はPPG、AkzoNobel、日本ペイントによって買収されました。残るAce PaintとShanghai HFCは不明です。Ace Paintは世界中でDIYを展開するACEグループの塗料を提供している会社ですが、時々消えたり現れたりしていますので、Coatings World社の扱い次第ということになるのでしょう。
次にランキング入りした日本企業をご紹介します。TOP30とは重複しますが、一覧表を作成しました。
為替の影響ですが、実は2022年3月31日末のレートは、1$=121.66円と思ったほどでもありません。日本ペイントに適用される2021年12月31日では1$=115.08円では、為替による$建て売上の縮小はほとんどなかったと思われます。
この表中の2021売上億円は国内で各社から発表された2021年度の売上金額です。これを当該レートで換算したのがその右蘭の数字です。もう一つ右のCW誌と書いた欄の数字がCoatings World社の発表数値なのですが、実は会社によってはこれらが一致しません。具体的には日本ペイント、関西ペイントでは、日本の公表値よりもCoatings World誌の数字が小さく、中国塗料は逆にCoatings World誌の数字が大きくなっています。これら3社に共通するのは海外の売上比率が高い会社であるということですが、数字が一致しない理由は不明です。
明日は、ランキング全体における傾向などについてご紹介する予定です。