お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2022.11.17

GDP成長率とGDP GAP 2022年第3四半期

一昨日、2022年第3四半期(7‐9月)のGDP成長率が発表され、4四半期ぶりにマイナスに転じたと報じられました。GDP成長率はその前の期(この場合は2022年4-6月)に対しての数値として表示され、今回は実質・季節調整系列で-0.3%、年率で-1.2%でした。NHKの発表したグラフをお借りして下に示します。

NHKでは、このGDPを構成するさまざまな項目別の成長率も表示してくれています。(実質季節調整系列寄与度)

GDPは三面等価性と言って、生産面、配分面、支出面から算出・解析することが可能ですが、通常は支出面の増減が発表の対象となっており、上図でも支出で約6割を占める個人消費をはじめ、民間の設備投資、住宅投資、に加え輸入と輸出の増減が示されています。金額的には政府最終支出もかなり大きいのですが、今回の増減は0.0%でした。

報道による説明は、「この夏は行動制限のない夏であったにも拘わらず、個人消費が0.3%とわずかしか伸びなかった。企業の設備投資、輸出も増加はし、この3項目がそろってプラスであったことは好ましいものの、円安などによって輸入の増加が大きく、全体としてマイナスとなった。」と報じられているようです。GDPの構成要素として純輸出(=輸出ー輸入)があり、今回は輸入の増加の影響が大きかったようです。

https://www.energia.co.jp/eneso/kankoubutsu/keirepo/pdf/MR1407-2.pdf 

さて先日GDP GAPについて書きました。総供給と総需要の差であるGDP GAPはGDP成長率と同じく内閣府から発表されており、2022年第2四半期までのデータしかありませんが、以下のように推移しています。

GDP GAPがプラス、すなわち需要が供給を上回っていたのは、2019年の第3四半期、つまり消費税増税前までで、それ以降はずっと需要が供給を下回っています。2020年にコロナ禍により大きく落ち込んだあと、需要は遅々として回復していない様子がよくわかります。冒頭のグラフに示された単純な前期に対する増減だけを見ると、もうすでにGDPはそこそこ回復しているかのように錯覚しそうですが、需給バランスから見れば全然もとに戻っていないということです。

このGDP成長率は前期に対する成長率なので、すっと掛け合わせていけばある時点を基点とした指数値として見ることができるはずです。2019年の第1四半期から2022年の第3四半期までの成長率を掛け合わせていった累積値の推移を下に示します。GDP(支出面)の大きな項目である民間最終支出(個人消費)、民間設備投資、政府最終支出についても同様に成長率の累積値を示します。

これらのGDP支出側主要項目と上のGDP GAPの図を見比べると、形が良く似ていることに驚きます。当たり前なのかもしれませんが、民間支出も民間設備投資もまだまだコロナ前には戻っていないですし、これを埋めるべき政府支出も足りていないということなのでしょうか?

最後に外国のGDP成長率のデータもNHKのサイトからお借りして示します。

中国、アメリカ、ヨーロッパに比べて、日本だけがマイナスと言った形です。第4四半期では再びプラス成長が予想されているようですが、どこまで回復できるか、第8波が始まっている中ではその先行きが心配されます。

コメント

コメントフォーム

To top