かんとこうブログ
2022.12.07
再び第8波の実効再生産数について
このところどうにも実効再生産数のことが気になってしかたありません。昨日段階で全国の実効再生産数は1.01となりもはや増加傾向とは言えない状態になりました。いつものように東洋経済オンラインコロナ特設サイトから引用した数値より作成したグラフでご紹介したいと思います。
新規陽性者数の第7波と第8波の比較を下図に示します。
依然として第8波の新規陽性者数の増加は第7波と比較すると非常に緩やかな増加に留まっています。さらに実効生産数については、第8波をもはやピークを越えているようにしか見えません。(下図)
このように第8波の新規陽性者増加が緩やかであることについて、ある学識者の見解が披歴されているのを見つけました。
東京工業大学の小野京右名誉教授がご自身のサイトで述べられている見解ですが、要約すると第8波の感染拡大がこれまでの感染拡大期に比べて緩やかな理由として、ワクチン摂取の普及と抗原検査キット普及による検査隔離体制の強化が挙げられています。学識者の見解ですので傾聴に値するものと思います。
ネット情報を探しているとこれ以外にもさまざまな説があり、そのひとつには「もはや老人と子供以外の新規感染者は、感染したとしても手厚い公的なサポートを期待できないために感染を届け出ず、従って実際の新規感染者よりも大幅に少ない数しか把握できていないため」という説もありました。だとすれば、連日報道されている新規陽性者数の動向にはほとんど意味がなくなることになりますが、この説の真偽は私には判断できません。
さらに探していると第8波の新規感染者、重症者、死亡者についてしっかりした数理モデルで予測したデータも見つかりました。名古屋工業大学 先端医用物理・情報工学研究センターの平田晃正教授らの研究結果で、入力パラメータ―として、Mobility、Teitter、ワクチン感染予防効果、変異種ごとの感染力、過去の新規陽性者数を用いて推定を行っています。推定の限界として変異株情報が限定的になったため時間軸の粒度が粗いとしています。
具体的には、11月10までの情報に基づく11月14日時点での予測として下図を提示しています。
この予測によれば、第8波の新規感染者のピーク時期は12月30日頃から1月20日過ぎまでであり、その数は新規変異株の感染力によって変動するものの、おおよそ第7波程度とされています。これをどう受け止めるかはいろいろな意見があるものと思われますが、感染拡大は緩やかであり、ピーク時の新規感染者も死亡者もせいぜい第7波同等程度となればまだ対処困難な未曽有の事態とはならないのではないかと思えるので、とりあえず安堵というのが正直な感想です。反面感染が緩やかに拡大ということは、ピーク期間が長いとも言えるわけで、それはそれで累積の感染者数が増大し、医療が逼迫する可能性があるかもしれません。この調子であれば行動制限などない年末になりそうですが、果たして新年の感染状況はどうなるのか心配は尽きません。