かんとこうブログ
2023.02.20
出荷数量と出荷金額の乖離再び拡大・・日塗工業況観測アンケート2023年1月分
先週金曜日に日塗工から2023年1月度の業況観測アンケートの結果を受領しました。組合員の皆様にはすでにFAXで結果概要お送りしておりますが、ここではすでにお知らせした以外の情報についてご紹介いたします。
まず、結果の概要について2022年1月からの一覧表で示します。
金額だけを見ると木工以外は前年同月比が100を超えており悪くはなさそうですが、これまでずっとお伝えしているように数量は連続して減少傾向にあります。(下図)
左図は2008年からリーマンショックの落ち込みから回復できずに横ばいを続け、コロナによりさらに落ち込んでいることがわかります。右図ではこの1年間、12か月の移動平均数量は連続して下落していることがわかります。つまり数量はすくなくともコロナ禍では減少を続けているのです。
上表において2022年では前年同月比が100を超えた月が大半であるにも拘わらず、数量では連続的に減少していることの矛盾は、ここしばらくお伝えしているように、金額と数量において前年同月比が乖離しているためです。この乖離の原因はもちろん原材料の破壊的な高騰であり、それにともなう製品の値上げにあります。
最近2年間の数量、金額の前年同月比%の比較と差異を図示します。(下図)
左図は、塗料全体の数量と金額の前年同月比%の推移を示しています。2021年末あたりから少しずつ乖離が始まり2022年夏以降乖離幅が顕在化しました。右図は、金額の前年同月比と数量の前年同月比の差異をグラフ化したものですが、8月以降10%近く差が開く状態となり、12月に一旦乖離が小さくなるかと思われましたが、1月ではまたもとに戻ってしまいました。
こうした金額と数量の前年同月比の差は、上場企業の決算における増収減益傾向に通じるものがあると思われます。
塗料需要全体については上述したような状況ですが、各需要分野別ではどうなのでしょうか?日塗工の業況観測アンケートには、各需要分野別の金額の前年同月比の推移のグラフが載っています。(下図)
これを見ると各分野ともコロナ禍が始まった2020年に大きく落ち込み2021年に大きく回復し、現在はコロナ禍前に戻っているように見えます。果たしてその理解は正しいのでしょうか?このグラフは各月の前年同月比の推移をそのままプロットしていますが、本来前年同月比という各月で独立した数値を折れ線グラフで書き表す場合には、各月の需要が大きく変化しないことが前提となっており、平時にのみ許容されるものではないかと思います。
長らくこうした需要分野別の動向をうまく表現できる指標を探していましたが、なんとか限定的ではありますが表現できる指標がありましたので、明日はそれをご紹介したいと思います。