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かんとこうブログ

2023.02.21

コロナ禍において塗料需要はどう推移したか?・・前年同月比ではわからない本当の推移

昨日、前年同月比の推移をプロットしたものでは本当に推移を表していないのではないかと書きました。実際下図(需要分野別の金額の前年同月比の推移)では、2020年に大きく落ち込み、2021年は大きく回復したように見えます。

しかしながら実態はこの図から得られるイメージとはかなり違います。経産省の確報の数値を使ってこの5年あまりの暦年単位での2021塗料の出荷数料、出荷金額、単価の推移を示します。単価は、出荷金額と数量から計算しました。

左の表をグラフ化したのが中図(歴年別数量と金額)と右図(単価)です。これらのグラフは明確に次のことを示しています。

①数量はコロナ禍の3年間、コロナ以前に比べて大きく落ち込んでおり、2022年も2021年から減少した。②金額は2020年を底として回復しており2020年は2018年のレベルに戻っている。③単価はこの間徐々に上昇していたが、2022年に一挙に上昇した。

以上は下図の各暦年の指標値をみればより明らかになります。

すなわち2020年の落ち込みから、2021年、2022年において金額がどう回復したかといえば、2021年は数量の回復と単価の上昇で、2022年はもっぱら価格の上昇により金額が回復し2018年レベルに戻ったということになります。

これは経産省確報の数値なので日塗工の業況観測アンケートとは母集団が異なるのではないかという指摘があるかもしれませんが、業況観測アンケートの各需要分野別金額においても同じような結果になっています。

この図は各暦年の需要分野別出荷金額の前年同月比について、1年間(1~12月)の平均値を1年ごとに掛け合わせたものをプロットしました。2022年の指数=(2019年の前年同月比)X(2020年の前年同月比)X(2021年の前年同月比)X(2022年の前年同月比)で計算しています。 つまり数字は2018年を100とした数値になっています。理論的には上の経産省確報の2018年を100とした数値と対比可能であると言えます。

経産省確報の指数値と業況観測アンケートの全体の指数値は、よく一致しています。経産省確報は全体値ですが、一方の業況観測アンケートの方はあくまで前年同月比という相対値でしかありませんが、この両者がよく一致しているのです。これを根拠に各需要分野別にコロナ禍の暦年を振り返れば、各分野ともコロナ禍前(2018年、2019年)に金額については回復してきていると言えると思います。

これでめでたし、めでたしというわけにはいきません。金額がコロナ禍前に戻っていても数量が減少しているということは決して安心できることではありません。数量の減少は固定費比率の増加を招き経営を圧迫することが懸念されています。ましては、今回の金額の回復には、製品値上げが大きく寄与しているわけですが、原材料の高騰だけでなくインフレによる諸物価高騰の影響をすべて価格に転嫁できているかもまた懸念されるところです。

金額の回復については一応安堵するものの、心配の種は尽きません。

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