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かんとこうブログ

2023.02.22

消費動向調査結果とGDP GAP、所得と消費など

久しぶりに消費動向調査結果(下記接続先)を覗いてみました。昨年来の物価高騰を受けて消費者態度指数は減少傾向にありました。今日はそのことに関連して、GDP GAPと所得/消費の指数の推移についてご紹介したいと思います。

消費動向調査1月実施分 (cao.go.jp)

  

消費者態度指数は30ギリギリというところで低位置迷走を続けていました。

この低位置迷走がコロナ禍初期と違うのは消費者態度指数を形成しているいくつかの項目のうちの最低スコアとなった項目が違っていることです。コロナ禍初期は「雇用環境」に対する不安が最低スコア、すなわち最も心配な項目だったのですが、この1年は「耐久消費財の買い時判断」になりました。すべての値段が上がっていく中でこうした心情になるのは当然かもしれません。

こうした物価に対する不安は、「1年後の物価予測」にも表れていました。(下図)これも当然のことかと思います。

こうした中で、内閣府が毎月発表している月例経済報告(下記URL)を見ていたら、気になる図表がありましたのでご紹介したいと思います。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2023/01shihyou/shihyou1-1_6.pdf 

   

左図はGDP GAPの図で、所謂需要と供給のバランスを示しています。GDP GAPがプラスであれば需要過剰(供給不足)、マイナスであれば供給過剰(需要不足)であることを示しており、今は明らかに供給過剰(需要不足)であることを示しています。

一方右図は、消費総合指数と実質総雇用者所得の指数値の推移を示していますが、2015年前後を除き一貫して総雇用者所得の指数が消費総合指数を上回っています。この二つの指数、いずれも基準は2015年となっています。2015年前後を除き所得は2015年よりも上の水準なのに、消費は下回っていることになります。つまり買うお金はあるけれど買いたいという気持ちにならないということになります。う~ん、何だか違和感があります。そこで少し調べてみることにしました。

まず、消費総合指数と実質総雇用者所得ですが、どちらも内閣府の統計では1994年以降の数値が指数で発表されていました。つまり両者とも絶対値ではないのです。となると基準として選ばれている年によって両者の関係性が変化する可能性があります。

2015年が比較的最近だったので、データが記載されている中で最も古い1994年とその10年後の2004年、さらに2015年の3つの場合についてグラフを描いてみました。(下図)上から2015年規準、2004年規準、1994年規準です。

これは正直驚きました。規準年を変更するだけで、両者の関係性は全く変わってしまいます。これが指数の恐ろしいところです。種明かしをすれば簡単な話で、両者とも2015年の平均値は100.0であり、この年において両者は1:1の関係にありますが、それよりも前においては常に総雇用者所得>総合消費指数の関係にあります。従って、2015年よりも前で基準年を指定すれば、2015年規準の場合に比べて総合消費指数を大きく見積もることになるからです。

また、GDP GAPの点から言えば、2015年はほぼGDP GAPはゼロでしたが、2004年はマイナス0.91%、1994年はマイナス1.13%でした。GDP GAPがマイナスの年は供給に対し需要が足りないわけで、そのような年は当然消費が振るいません。そのような年を基準にとれば、消費の基準を低く設定することになるわけで他の年の消費が大きめに計算されることになります。上の3つのグラフは果たしてその通りになっています。

申し上げたいのは、指数は動向を解析するときには便利なものですが、基準年をどこに定めるかは熟慮する必要があるここと、さらに指数と指数の比較を行う際には十分に注意を払い基準年がいつであったかということを常に念頭において解析する必要があるということです。

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