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かんとこうブログ

2023.04.17

日本の人口推計から少子高齢化を考える

4月12日総務省から、令和4年10月時点の日本の人口推計が出されました。日本全体については、すでにメディアが報じているように、12年連続の減少が続いており人口が30年前の水準に落ち込み、これまで都道府県別では唯一の自然増加だった沖縄県が自然減となり、社会増減とあわせた人口増減では唯一東京都が人口増加であったなどが報じられていました。人口減少に歯止めがかからない、出生率回復策が功を奏していないなども合わせて伝えられていました。ここでは都道府県別の増減に焦点をあてて、どのような動きになっているのかご紹介していきたいと思います。

最初に都道府県別の人口増加率のグラフを示します。増加率と書きましたが、東京以外はすべて減少なので人口減少率といった方がよいかもしれません。総務省の資料では人口増減率となっていました。

赤で示したのは人口減少が1%を超えた県です。宮城を除く東北地方の5県、和歌山、島根、山口、徳島、愛媛、高知、長崎の12県が人口減少率1%を超えていました。人口増減の内訳は、出生と死亡による自然増減と転入、転出による社会増減の二つがありますが、その内訳は総務省の資料でグラフ化されていました。

各都道府県に二本づつ棒が示されていますが、左が2022年(2021年10月~2022年10月)右が2021年(2020年10月~2021年10月)の増減率です。自然増減率は2021年の沖縄以外はすべて減少で、沖縄も2022年減少に転じてしまいました。人口減少が1%を超えた先ほどの12県ですが、すべての県が自然増減も社会増減も減少です。この背景には高齢化が進んでいることに加え、転出する人も増えているという地方の実状があります。

高齢化の様子は、生産年齢(15歳~64歳)人口と高齢者(65歳以上)に比率に現れています。

上図が生産年齢人口割合、下図が高齢者人口割合です。生産年齢人口割合が最も高いのは東京都で、最も低いのが秋田県です。高齢者人口比率では、これが逆になり最も低いのが東京都、最も高いのが秋田県です。そして赤で示した生産年齢人口割合の低い県と高齢者割合の高い県ですが、これらの県は冒頭の人口減少が大きい県とほぼ重なります。つまり、人口減少の大きい県は、高齢化が進んでおり、自然減少も大きいだけでなく社会減少も大きいのです。

さらに追い打ちをかけるデータがあります。人口性比です。これは女性100人に対する男性の人数です。

ここでも赤で示したのは人口性比の低い県ですが、傾向としては先ほどの人口減少や高齢化割合とも重なります。高齢化や人口減少だけでなく、主な働き手となる男性の比率も低いことになります。そして男性比率が低い理由はやはり地元に十分な仕事が存在するかどうかにあるのではないかと推定されます。

一方で、日本全体の人口ピラミッドは悲惨な状態になっています。下図は総務省の資料から引用していますが、年齢別人口で最も多いのは49歳で200万人を超えているのに対し、最も少ないゼロ歳児は80万人に足りません。つまり最も多い世代の4割しかいないということです。

各年齢の人口のグラフを描いて、近似線からゼロになるところを推定するとあと40年後にはゼロ歳児の人口がゼロになると出ました。もちろん実際にこのような推移をたどるとは思えませんが、それくらい事態は深刻であるということです。

政府はこうした事態に対し、異次元の対策をとるとしていますが、ここで見てきたように、人口減少の問題は単に出生率の問題だけではなく、地方と大都市圏の問題でもあるのです。地方創生はこれまでも取り組まれたきてはいますが、人口動態を見る限り成功しているとは思われません。本当に困難な状況に直面していることを改めて認識させられます。

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