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かんとこうブログ

2023.04.28

財務省貿易統計令和4年度分速報について その2

昨日は相手国別収支についてまでを書きました。今日は品目別収支その他です。

品目別輸出入額とその収支について下図に示します。

大分類の品目は8品目です。このうち主な輸入超過は食料品、原料品、鉱物性燃料です。食糧品は魚介類、肉類、穀物類でほとんどを占めます。原料類は鉄鉱石、非鉄鉱石、大豆など、鉱物性燃料は原油、石油製品、LNG、石炭がほとんどです。

一方、輸出超過の品目は輸送用機械(主として自動車)、一般機械、原料別製品です。一般機械は原動機、電算機、半導体製造装置、金属加工機械、ポンプ類、建設・鉱山機械、ベアリングなど、原料別製品とは鉄鋼、非鉄金属、金属製品などです。輸出超過の金額においては輸送用機械(自動車)が突出しています。

昔は輸出の花形は家電と自動車と言われていましたが、今では家電の輸出は非常に少なくなったようです。こうしてみると日本の製造業は充分な競争力があるのか心配になりますので、もう少し細かな細目ごとに輸出入を見ていくことにします。

細目別の輸出と輸入の内訳を示します。

輸出の上位に並ぶものは、競争力のある分野と考えてよいのではないかと思いますし、輸入の上位に並ぶものは海外から買った方がメリットがあるものと考えることができると思います。そういう意味で心配になるのは医薬品、半導体等電子部品、通信機、電算機器、音響映像機器、などが挙げられます。

より正確には細目ごとの収支で見るべきと思いますので、細目ごとの収支を下図に示します。工業製品に限定して収支を示します。

字が小さくなって恐縮ですが、かなりの品目をカバーしています。やはり輸入超過であることが心配になるのは、医薬品、通信機、電算機、音響映像製品、ICなどです。ICは輸出も多くあるので、そう心配することはないのかもしれませんが、加工貿易を生業としてきた日本の産業がこれでだいじょうぶなのかどうか気にはなります。

最後に、原油とLNGを主にどこから輸入してきたかというデータがありましたのでグラフにしてみました。原油はサウジアラビアとアラブ首長国連邦の2か国がずっとワンツーを占めてきました。一方LNGはかつてインドネシアとマレーシアの東南アジアでしたが、今のトップはオーストラリアです。石炭もオーストラリアが主要供給国になっていますので、エネルギー面ではオーストラリアへの依存度が非常に高くなっていることがわかりました。

非常に印象的だったのが、テレビの輸出額です。2022年度は673億円でした。全輸出額の0.07%ほどしかありません。1980年代には世界のほとんどを製造していると言われていました。まだ独立した調査項目としてカウントされていますが、周りを見てもとても小さい数字です。織物用糸・繊維製品の輸出も7727億円であり、輸入の半分強しかありません。かつて日本からアメリカへの繊維製品の輸出を巡り日米間で激しい攻防が繰り広げられたことが夢のようです。

おそらくしばらくすると財務省から詳細な解析レポートが出されると思いますので、それまでの参考にしていただければよいと思います。

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