かんとこうブログ
2023.05.17
日本ペイントHDの2023年12月期第1四半期の決算・・堂々の増収増益
5月15日に日本ペイントホールディングスの第1四半期決算が発表になりました。短信ベース、業績ベースの両方とも増収増益と言える決算だったと思います。ただし、地域別にみると、日本、中国、アジア以外では増収減益であり、米州では減収減益となっていますが、全社でみると増収増益でした。下の一覧表をご覧ください。前年比における寄与要因解析では、数量が+5%、価格/ミックスが+1%、その他要因が1%となっています。先に発表されたTOP3がすべて数量要因がマイナスであり価格でカバーしていたことを思えば、主要市場が異なるとしても立派なことではないかと思います。
またトルコのBetek Boyaは,インフレの影響で大増収大減益となりました。各地の売上金額と営業利益率を下図に示します。
営業利益率について言えば、インドネシアの営業利益率の高さが目を引きます。
各地区の売上と営業利益の前年同期比は下図のようになり、左半分のアジアと右半分のアジア以外とが見事に対極をなす形になっています。
日本、中国、豪州、米州といった同社の主要市場における需要分野別の売上とその前年比は下表のようになっています。
各地区、各需要分野別の営業利益とその前年比を下図に示します。
左が地域別需要分野別売上、右がその前年比です。分野別で最も売上比率の高い汎用(建築防食等)で、すべての地域で増収でしたが、自動車では中国が、工業用では中国と豪州が減収となりました。全体としてみれば、使用分野である汎用の好調さに支えられて増収増益となったことがわかります。
同社は、毎回自動車と建築分野の世界の市況を報告書に掲載していますが、第1四半期でみれば、建築の中国DIYがやや好調、欧米豪州がやや軟調、自動車の日米がやや好調、中国がやや軟調となっています。第2四半期の予測としては自動車が回復し、日中が好調、米州がやや好調、建築では第1四半期と同様な市況となっています。自動車が好調な分だけ、第1四半期よりも良い結果が期待できそうです。
最後に、第1四半期終了時点で、世界のTOP4企業の決算状況をまとめてみました。
日本ペイントは短信ベースの数字を使い、かつ営業利益ではなくEBITDAの数字を使っています。この中では、AkzoNobelが最も苦しい状況で増収減益となっています。
日本ペイントHDは、売上金額こそ4位に甘んじていますが、EBITDAではAkzoNobelを超えており、さらに売上、営業利益の前年比では、この4社中トップも数字となっています。この先も注目していきたいと思います。