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かんとこうブログ

2023.06.14

業種別にみた企業のCO2排出量算定事例 その2

昨日の続きです。今日はほとんどの企業で排出の過半数を占めるScope3について詳しく見ていきたいと思います。Scope3は、全部で16のCategoryがあり、Scope8までが上流、Scope9以降が下流にあたります。ここで言う上流、下流とは、以下のようになっています。その会社で生産やサービスを行うにあたり、使用する原料やサービスを入手するまでに排出されたカテゴリを上流、その会社で生産なりサービスが行われた以降で排出されるカテゴリを下流と称しています。サプライチェーンの中で自分の位置から見て始点に近い部分を上流、終点に近い部分を下流と呼んでいるわけです。昨日の例で言えば、運輸や輸送は、人やものを運んで届けるサービスですから、サプライチューンの中でCO2を排出するプロセスはそのほとんどが自社内にあり、このため全体に占めるScope1とScope2の割合が非常に高くなるわけです。

Scope3の16のCategoryを下表に示します。

この16のCategoryの中でも青く色づけしたものが、数値としては大きな割合を占める場合が多いとされています。事実。これから順番にScope3に内訳を示しますが、ほとんどの企業でCategory1「購入した製品やサービス」が大きな割合を占めているほか、色付けしたCategory(4~5,9~12)に大きな数値が入っている場合が多く見られます。つまり色付けした項目については、算定において注意深く抜けがないように気を付ける必要があるということになります。

それでは順番に見ていきましょう。企業名の色付けはScope3の排出が上流に偏っている(青色)か、下流に偏っている(赤色)かを表しています。

左の運輸・輸送においては、このScope3は小さな部分でありさして重要ではありませんが、Scope3の内訳としては上流側に偏っていることがわかります。

次の自動車製造と家電・電機は典型的な製品使用時排出型です。全体の中でScope3の割合がほとんどであり、そのScope3の中でもCategory11の「製品の使用時」が大半を占めています。従ってこうした企業においては、全体のCO2削減においては製品使用時の排出を削減することが最も効果的になります。スズキについては、Category11以外は一括して表示してありましたので、その値を最後のCategoryに入れていますが、実際にはこの中ではCategory1が最も多いと推測されます)

続いて化学は、9社中で7社が上流排出型、2社が下流排出型でした。この差は生産している製品の性質によると思われます。下流型の2社(三菱ケミカルと花王)に共通するのはCategory11「製品の使用」で大きな排出があることです。三菱ケミカルが基礎化学品、花王は家庭用品というイメージがあるので、この「製品の使用」における排出についてはそれぞれ内容が異なっていると思われますが、内訳の数字としては似通っています。また他の業種と比較して、全般的に製品の廃棄における排出が多いように思われます。これも化学の特徴かもしれません。

印刷建材は雑多な構成になっているのですが、この中ではヤマハだけが下流型でした。オートバイや電気を使用した楽器などが含まれていると考えれば数値が大きくなるのは頷けます。印刷では下流での輸送配送に、建材では製品の加工に大きめの数字が入っているのが目を引きました。

小売では圧倒的に購入品の割合(Category1)が高くなっています。非鉄金属では、原料の購入における排出の割合が高いのがわかります。

飲料、食品において特徴的なのはCategory4「輸送・配送」です。重量物を大量に運ばなければならないこの業種の特徴がよく表れていると思います。製薬は「購入品」が内訳の大半を占めていました。薬品の一から全部を自社で合成するのではなく、さまざまな基礎・中間物質を活用して薬品生産を行っているものと思われます。繊維については、「製品の使用」、すなわち服飾等への加工工程での排出がかなりの割合をしめているものと思われます。

建設・住宅では、「製品の使用」における排出が大きな数字になっています。建築物の空調が主な要因でしょうか?

こうして見てくるとScope3の内訳は業種ごとの事業内容をよく表しているように思えます。すなわち昨日の冒頭に書いた、「その会社が提供する製品やサービスの性質に従って排出量が数値化されている」ということになります。

環境省のサイトを調べてみて少々残念に思うのは、塗料製造会社の公開事例がひとつもなかったことです。塗料の場合、「製品の使用」、つまり塗装工程における排出量が塗装方法や塗装条件によって大きく変化するため、算定が困難であることは否めませんが、それも現在活動中のコーティング・コンソーシアムによってある程度数値化されることで全体のLCA像が明らかとなっていくと思われますので、それに伴い排出量の算定が各企業で進展することを期待します。

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