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かんとこうブログ

2023.07.03

閑話休題・・・ブダペストへの道

ことしは昨年に引き続き陸上競技の世界選手権が行われます。もともと隔年開催ですが2年連続開催となったのは東京オリンピックの延期により、本来2021年に行われるはずだったオレゴンの世界選手権も1年延期されたためです。

この世界選手権は、出場できる選手数があらかじめ決められており、この出場枠を巡って厳しい争いが繰り広げられています。出場資格はやや複雑ですが以下の通りです。①参加標準記録を突破またはそれに準ずる成績(エリア大会優勝など)をおさめること ②前回大会優勝者 (今回は前回男子20Km競歩で優勝した山西選手がこれに該当します。)③開催国枠など特別枠 ④1か国3名を上限とした世界ランキングにおいてターゲットナンバー(出場枠の数)以内の選手となっています。

どうしてこのような複雑な形になっているかというと、参加標準記録だけを選考基準にすると出場人数が予定数よりも多かったり少なかったりするため、大会の運営上支障が出る可能性があるためです。そこで出場人数が予定した人数に収まるように、今の制度が採用されるようになりました。標準記録のレベルは大変高く、男子100Mでは10.00秒です。現時点でもこの条件を満たしている選手は、出場枠(ターゲットナンバー)48に対して20名ほどです。残りは8月2日に発表される世界ランキングで決定されることになります。とにかく、最終的には8月2日のランキングでターゲットナンバー数以内の順位に入っていれば参加資格が得られるということです。ターゲットナンバーは種目毎に異なっており、競技に要する時間が長くなるほど出場可能人数が少なくなっています。

日本選手の場合には、上記標準記録を突破していても自動的に出場決定とならず、6月初旬に行われた日本選手権で3位以内に入賞しないと内定が得られていません。あとは8月2日に発表されるランキングでターゲットナンバー以内にランクされる必要があります。そしてそのランキングの対象となる記録は7月31日までの記録が有効となりますので、今月いっぱい当落線上の選手達は、出場権確保を目指して懸命に競技会に出場しています。

今日は6月27日現在のランキングをご紹介します。あと約1か月間、まだまだ順位が変わっていく中で、何人の日本選手が出場権を確保できそうなのかを予想してみたいと思います。

種目別にランキング表ができています。上段中のTNはターゲットナンバーを表し、その右の数字が出場枠数です。選手の名前は黒字で書かれていますが、赤字の選手はすでに内定している選手、青字の選手は標準記録を突破しているが、内定に至っていない選手です。表の中央の列は1か国3名を上限としたランキングの順位で、最終的にはこのランキングで出場権が決まります。その右隣の列のRK2は1か国3名という条件をつけない場合の世界ランキングで、100位以内の選手をピックアップしています。100位以内に日本の選手がいない場合は最上位の選手を1名だけを記入しています。注目してもらいたいのは最下段の赤色欄の数字で、これが現時点で出場枠圏内のランキングにいる日本選手の数です。その右欄は、無条件での世界100位以内にランクされている日本選手の数であり、この数が多いほど日本のレベルが高いことを示しています。

それでは、男子トラックからご覧ください。

注目の100メートルですが、48名の枠に対し、日本選手は坂井と柳田の二人が出場圏内にいます。サニブラウンもその前の週までは圏内順位だったのですが、最新のランキングでは枠から落ちてしまいました。200Mも現在2人が枠内ですが、飯塚選手はこのままでは来週には圏外になります。400Mの佐藤風雅選手も先週まで圏内だったのですが、今週は圏外になってしまいました。佐藤拳太郎選手もこのままでは圏内に留まるのは難しいと思われます。一般的に自分の持ち点が変わらない場合には、毎週何人かに抜かれることを覚悟しなければなりません。逆に良い記録を出せば、さらに上位にいける可能性がでてきますので、特に当落線上の選手はこの1か月間にできる限り試合に出場して順位を上げることが重要です。

今の時点で中距離(800M,1500M)の参加は難しそうです。男子5000Mは現在3人が出場圏内にいますが、全員が安泰とは言えません。10000Mは現在誰も出場圏内にはいません。田澤、相沢、伊藤と言ってかつての箱根のスター選手が名前を連ねていますが、出場の見通しは立っていません。これはターゲットナンバーが27と少ないためもあります。

110MHは現在世界ランキング10位以内の選手が泉谷、高山と2名います。さらに標準記録突破選手が他に3人もいますので、まずフルエントリー3名での出場はまちがいないと思います。400MHは、世界100位の中に日本選手が18名もいる大変日本のレベルが高い種目なのですが、残念ながら標準記録突破者がいません。最終ランクでの出場を狙うことになりますが、このままでは3名での出場は微妙です。3000MSCでは三浦選手がランキングの5位にいます。あとの2選手はこのままでは枠内残留が微妙なところだと思われます。

リレーについては4X400Mリレーが昨年の世界選手権で4位に入賞しており、すでに出場権を獲得しています。一方かつてお家芸とも言われた4X100Mリレーは最近の主要国際大会でレベルの高い記録が残せていませんので、ランキング圏内に入っていません。急遽7月末のロンドンに代表を派遣し、ランク入りのために高い水準の記録を狙うことになりました。このリレーのランキングに収録さえる記録は国際大会のものだけです。

フィールドの跳躍では、走高跳の赤松選手、真野選手は安全圏、棒高跳の山本は記録の上積みが必要です。走幅跳びの吉田選手は標準記録を突破しながら日本選手権で決勝に残れず内定がとれませんでしたが、ランクでは残れそうです。城山選手は先週まで圏外でしたが、先週の大会で好記録を出してランキング順位を上げ圏内に入りました。走幅跳のエースの橋岡選手はランキング内に名前がありません。これからの大会でどれだけ記録を残せるか心配です。

投擲ではやり投げだけが出場できそうです。うまくいけばディーン元気選手を筆頭にフルエントリー3名出場の可能性もあります。

一方でロード競技は全種目フルエントリーです。中でも20Km競歩は、前回優勝の山西選手がワイルドカードで出場するので合計4名の出場になります。35Km競歩も合わせ、世界ランキングの上位者も多く、大いに活躍が期待される種目です。

続いて女子のトラックです。

残念ながら女子の方は、男子に比べて出場の可能性のある種目がかなり限定されます。短距離と800Mまではランクで圏内の選手がいません。1500M,5000Mの田中選手はほぼ安全圏ですが、1500Mの後藤選手、5000Mの五島、萩谷選手は、今後のランキング次第です。10000Mの廣中選手は、標準記録こそ突破していますが、今年に入ってから調子を落としていますので、果たして出場となるかどうでしょうか?

100MHはかつてない盛況を呈しています。12秒台の選手が5人もそろい激しい代表争いが繰り広げられた結果、標準記録を突破していた福部選手が日本選手権で4位となり内定をもらえませんでした。なんとか3人で出場してもらいたいと思います。400MHの山本選手は、ランクに残れば久々の日本選手の代表となります。女子のリレーは今回はなしとなりそうです。

続いて女子のフィールド、混成、ロードです。

跳躍は走幅跳の秦選手、三段跳の森本選手がほぼ代表入り確実です。投擲は男子同様やり投げでの出場が有望です。エース北口選手は世界ランク5位であり、今季すでにダイヤモンドリーグで優勝しており好調を維持しています。この種目も3人出場の可能性があります。

ロード競技は男子同様にフルエントリーができそうな状況です。ランキングも総じて高いので、入賞のチャンスもあると思われます。

こうして見てくると、入賞が期待できそうな種目は、厳しめに見て、男子の110MH、3000MSC、4X400Mリレー、競歩、女子のやり投、競歩というところでしょうか?

ランキング順位の最終発表は8月2日です。それまでの間、どんな変動があるのか、心配半分、期待半分で見守っていきたいと思います。

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