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かんとこうブログ

2023.10.09

世界のエネルギー事情・・各国の総エネルギーに占める化石燃料の割合

以前に各国の発電におけるエネルギー源についてご紹介をしたことがありますが、今日は各国の総エネルギーについてそのエネルギー源の内訳をご紹介したいと思います。発電において日本の8割は化石燃料由来であることはかなり知られていますが、それでは電力以外のエネルギーについてはどうなのでしょうか?

まず世界各地域の総エネルギーについてその内訳をご紹介します。この地域分けはIEA独特の区分であり、中東、ユーラシアという地域が出てきます。中東は文字通り中東の13か国、ユーラシアはロシア、ベラルーシ、カザフスタンなどの9か国です。

エネルギー源の分類は、石炭、天然ガス、石油、原子力、水力、風力・太陽光など、バイオマスなど7区分です。「風力・太陽光など」は、再生可能エネルギーであり、太陽熱、太陽光、風力、地熱発電を含みます。「バイオマスなど」には、一次固形バイオ燃料(草や木など)、メタン発酵などのバイオガス、家庭ごみ、産業廃棄物などを含みます。

各地域ごとに特徴がよく顕れています。のちほど国別でも同じようにその国の事情によって随分と異なった内訳になっています。このように地域別に内訳が異なる要因は主に二つあり、ひとつ目は自国の資源です。自国にエネルギー変換効率が高い資源があればそれを優先的に使用します。そしてそれが再生可能エネルギーであればなおのことです。もう一つの要因は、その国の豊かさです。エネルギー資源が自国に乏しい場合に、他国からエネルギー資源を買うことができる財力があるかどうかも決定的な要因になります。上の図でバイオマスなどが多い地域は、一次固形バイオ燃料、簡単に言えば草や木を燃やして暖をとったり煮炊きをしたりせざるを得ない地域となっています。アフリカ、中南米、アジアに「バイオマスなど」の比率が高いのはそうした要因であると思われます。

一方で特徴的な地域は中東で、エネルギーのほとんどが天然ガスと石油で占められています。産油国の特徴です。ロシアがその多くを占めているユーラシアもそれに似た構図になっています。

図中の赤い線は、総エネルギーに占める化石燃料の割合を示しており、世界全体では70%となっています。これは2020年の統計なので、今はもうすこし少なくなっているかもしれません。これよりも化石燃料割合の少ない地域は、アジアオセアニア、アフリカ、中南米というように、先ほどの「バイオマスなど」が多い地域になっています。逆に割合が高いのは、産油国を除けば北米だけであり、環境問題では先進的な欧州でも世界平均と同じであるということは、いかに先進国が化石燃料を使ってきたかを表しているものと思われます。

それでは国別の割合をみていくことにします。最初はアジア・オセアニアの6か国です。

日中韓は化石燃料割合が高い点は似ていますが、中国はその多くが石炭であり、自国資源です。日本の化石資源割合は90%であり、産油国に次ぐ高さになっています。正直驚きました。ここからカーボンニュートラルへもっていくことは相当な大変さであろうと想像されます。インドとインドネシアもではやはり「バイオマスなど」の割合が多いことが目を引きます。オーストラリアの化石燃料割合が高いのは自国資源が豊かであることによると思われます。

続いて欧州です。ヨーロッパは国ごとに随分と特徴が出ています。

共通しているのは石炭が少ないことです。ドイツは自国資源として石炭の割合がそれなりに高いのですが、他の国は押しなべて5%以下です。非CO2排出エネルギー源として特徴的なのはフランスの原子力、ノルウエーの水力、デンマークの風力とバイオマス発電、アイスランドの水力と風力発電です。こうした有力な非CO2排出型エネルギー源を使いこなしていると化石燃料割合を低くすることができます。

続いて南北アメリカです。

アメリカとカナダは似ており、天然ガスと石油の比率が高くなっています。ブラジルは「バイオマスなど」と水力の割が高いため、化石燃料比率が低くなっています。続いて産油国で、ロシアもここに含めました。

産油国は自国に有力なエネルギー資源がありますので、それを優先的に使用することは自然です。しかしこの先カーボンニュートラルにはどう対応するのかは大きな課題となります。

最後にアフリカです。この中でアルジェリアは産油国、南アフリカは石炭が豊富であり、ナイジェリアはこれといったエネルギー資源がありません。そうした自国の状況が反映された内訳になっています。

さてここまで各国の総エネルギーの内訳を見てきました。最も重要な点は化石燃料割合ですので、各国の化石燃料割合をグラフ化してみました。

ここで取り上げた国は、主には国としての総エネルギー量が多い国をピックアップしましした。そういう国のグラフを描いた時に世界平均よりも化石燃料割合が大きい国が多いということは、やはり先進国は化石燃料をより多く使用しているということを表しているように思います。

最後に世界の各地域のひとりあたりの総エネルギーとGDP千ドルあたりの総エネルギーを図示します。

左図はひとりあたりの総エネルギーでこれにも気候要因が深くかかわっています。寒い地域ではどうしても多くなります。ただし、最も多い北米は最も少ないアフリカの8倍ほどですので、これには議論すべきところがあるかもしれません。

右図のGDPあたり総エネルギーは、エネルギーの価格とも考えられますし、逆にエネルギーあたりの生産性とも考えられます。日本はこうしてみると世界で最も高いエネルギーを使って、最も効率的に付加価値を生み出していると言えることになります。どちらが正しいのでしょうか?

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