かんとこうブログ
2023.12.08
11月も暑かったのかどうかの検証
11月も異常とも言えるほど気温が高く、小春日和の日が多かった印象があります。好天が多かった印象もありますし、気温も高かったと思われますが、果たして実際にはどうだったのでしょうか?全国10地点の11月の気温を調べてみました。今回は2023年11月の気温を平年値と比較してみました。平年値とは過去30年の平均値です。データは気象庁の過去の気象データ検索(下記URL)からです。
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
平年値は見事に直線になっていますが、これは30年間の平均値のため各年の凸凹が平準化されたためです。この平年値と2023年の平均気温とを比較すると、全般的に初旬では大きく平年値を上回っています。中旬では平年なみか場合によっては下回る場合もありますが、下旬では平年並みかやや上回る場合がみられ、全体としては平年より高めで推移したとみられます。また地域的には東日本の方が平年値を上回る幅が大きいように見受けられます。
平年値からの乖離幅について、もう少し数値化したいと思い、日毎の平均気温、最高気温、最低気温の平均値と日毎の平年値の平均値を比較してみました。
図中の赤字の数字は2023年の平均値と平年値の平均値の差です。数字を見比べていくと、平年値の平均値との乖離については、仙台、東京、新潟、あたりが大きく、鹿児島、那覇では小さいことがわかります。これをグラフ化するとこうした傾向がより明確になります。(下図)
これまで見てきた通り全般的には、東日本において平年値との差が大きく、鹿児島以南で小さい傾向にあります。また、仙台、東京、新潟、名古屋では最高気温における差異が、福岡、鹿児島では平均気温の差異がそれぞれ大きいという傾向もあります。那覇はこれらの中では最も平年値との差異が小さくなっています。
しかし、これだけでは2023年の11月の気温が平年値よりも異常に高いと言えるかどうかはわかりません。正式には、平年値を構成する過去30年のデータの標準偏差を求め、2023年11月の気温と平年値との差が標準偏差の何倍かを求めて検定する必要があります。これを行うためには、過去30年のデータをすべて調べないといけませんので、手間がかかりすぎますので、東京の平均気温についてだけ、10年間のデータを調べて検定してみました。
その結果ですが、2023年11月の東京の平均気温は、過去10年間の平均値に対して0.889σ(シグマ;標準偏差)隔たった値であると計算されました。この程度のデータのバラツキですと統計的に異常値とは判断されません。ただし、過去10年間の東京の平均気温は13.5℃であり、平年値(過去30年の平均)の平均値12.5℃とは1.0℃も違っています。仮に平均値を12.5℃で計算すると、データのバラツキは1.33σとなり、10回に1回しか出現しない大きなバラつきと判断されます。このように年々気温が上昇傾向にある中では、こうした検定のやり方にも議論のあるところですが、それらを踏まえて今年の11月の気温は、平年値からかなり離れた(気温の高さ)であると言っても良いのではないかと思いました。