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かんとこうブログ

2023.12.15

続 オーロラが発生するしくみ

さて昨日はオーロラのしくみについてご紹介しました。今日はその続きで、極地付近ではなく低緯度地域でも見られる「低緯度オーロラ」についての説明を、昨日と同じ名古屋大学の塩川先生のサイト(下記URL)から引用させていただきます。

https://stdb2.isee.nagoya-u.ac.jp/member/shiokawa/aurora_kaisetu.htm#_top

日本のような低緯度地域でも磁気嵐の時にはオーロラが観測されることがあります。そうしたオーロラはほとんど赤い色をしており「赤気(しゃっき)」と呼ばれています。北海道でも10年に一度くらいの確率で見られるとされてきましたが、塩川先生が所長を務める名古屋大学太陽地球環境研究所では、開設された1989年から2015年までの26年間で27回の低緯度オーロラを観測しているそうで、低緯度オーロラは目視できない明るさのものも含めればもっと頻繁に出現していることがわかりました。それではこの低緯度オーロラが出現するしくみはどのようになっているのでしょうか?また磁気嵐がどのように関係しているのでしょうか?

磁気嵐は太陽表面で巨大な爆発が生じ、その爆風が強い太陽風として地球にぶつかったときにおきます。この時に太陽風の中の磁力線の向きが、地球の磁力線の向きと反対になっている(地球では地磁気の反転がときどき起きています)と、地球の磁力線の太陽側の部分がはがされやすくなり、その結果プラズマシートにより多くのプラズマが集まり、プラズマシートの地球側の部分が地球により近くなります。

プラズマがより地球に近づくと、より低緯度地域に磁力線がプラズマを引き込みオーロラが発生しすくなるのです。

以上をまとめると「磁気嵐によって多くのプラズマが地球に押し寄せ、その時に磁力線の向きが反対であると、プラズマシートにプラズマが大量にたまり、その中で地球に近いところにあるプラズマが低緯度地域に引き込まれて低緯度でオーロラが発生する」ということになります。こうした磁気嵐は太陽の活動と関係があり、活発になるタイミングなどもおおよそ判明しているようです。

塩川先生のサイトではさらに詳しくこのメカニズムが説明されていますので興味のある方は覗いてみてください。ところで、この磁気嵐を引き起こす太陽風はいったいどのように起こるのでしょうか?今度は「オーロラ完全ガイド」のサイトから引用してご紹介します。

   

太陽風を引き起こす太陽活動は三つあります。「太陽フレア」「コロナ質量放出」「コロナホール」です。太陽フレアは太陽表面で起きる大規模な爆発です。これにより荷電粒子が宇宙空間に放出されます。コロナ質量放出では、コロナに蓄えられたプラズマが雲のように塊となり、これらが太陽の磁場と共に一気に放出されます。これら二つは人工衛星などの通信機器に障害を発生させます。コロナホールとは、太陽を覆う大気であるコロナに見られる、低温、低密度のエリアであり、コロナホールでは磁力線の流れが断ち切られるため、プラズマは太陽表面に戻されずに宇宙空間へと放出されます。コロナホールによって生じる太陽風は非常に高速となります。以上が太陽風の起こる原因と考えられていますが、実はこの太陽風は、太陽の表面ではそれほどでは高温、高速ではないのですが、すぐに高温、高速まで加温加速されます。以下のJAXAのサイトの引用をご覧ください。

上の右図は、太陽付近での太陽風の速度と温度の変化を示していますが、太陽表面では温度と速度もそれほどではありませんが、太陽から遠ざかるにつれて温度は急激に高く、速度は徐々に大きくなっています。このJAXAのサイトはこうした太陽風の秘密を解明するため、「あかつき」を使って観測した結果、ある推論に達したことを報告しています。その推論とは、「太陽表面で作られた安定波長の音波が太陽から遠く離れたところで不安定となり、その結果生じた音波が衝撃波を生成し、生成した衝撃波がプラズマを加熱し、太陽風を加速する」というシナリオが導かれ、実験結果ともよく合致したと報告されています。音波が衝撃波を生成し、その衝撃波がプラズマを加熱・加速するというのです。

以上でオーロラが生成するしくみに関するご紹介を終わりますが、太陽表面から来ているプラズマ粒子が地球の極地付近でオーロラを起こしているということに宇宙のロマンを感じます。

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