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かんとこうブログ

2023.12.22

3か月連続全需要分野100超えならず・・11月の業況観測アンケート

12月18日に日塗工から11月度業況観測アンケート結果を受領しました。すでに組合員の皆様には送付しておりますが、例月のようにプラスα的な情報をご紹介していきたいと思います。

昨年11月から今年の11月までの各需要分野と全体の売上金額の前年同月比%を下表に示します。9月10月と2カ月連続して需要分野すべてが前年比100超えを記録しましたが、3か月連続はなりませんでした。ただし、全体の金額の前年比が100を超えるのは19カ月連続となりました。2019年後半から2021年前半までは消費税増税とコロナ禍により、全体金額の前年比が17か月連続100を下回ったことからみれば、隔世の感があります。

ただし、前年比が100を超えたからと言って手放しでは喜べません。現在の水準がコロナ前と比べてどんなレベルにあるのかということは常に検証しておく必要があります。

このグラフの数値は次のようにして計算しています。2018年の各月を100として2019年以降の各月の前年同月比を掛け合わせていきグラフを作成します。2023年11月の指数は以下の様にして計算します。なぜこんな手間のかかることをしているかというと、需要分野別の金額に関する統計はこの業況観測アンケート以外にないからです。しかもこの業況観測アンケートの指標は前年同月比と言う数字だけで、実際の数値がないからです。

2023年11月の指数=2019年11月の前年同月比X2020年11月の前年同月比X2021年11月の前年同月比X2022年11月の前年同月比X2023年11月の前年同月比/(100^4)

こうして計算してきた各月の指数をグラフ化したものを下図に示します。

需要分野ごとに差がありますが、2023年の各月では、2018年の水準に戻ったと言えます。木工は2023年でも少し2018年の水準には届いていませんが、全体としては概ね2022年で回復し、2023年では2018年を超えていると言って良いと思います。

金額では、2018年レベルを超えたことが解りましたが、もう一つの指標である数量はどうでしょうか?下図は、業況観測アンケートと経産省確報における全体の金額と数量の前年同月比の推移です。(経産省確報は10月までのデータしかありません)

多少の差はあれ、両者の統計はほぼ同じ傾向です。金額はすべて前年同月比が100を超えていますが、数量の前年比が100を超えたのは両統計とも3月、7月、10月の3回のみです。全期間でみれば明らかに前年を下回っていると思われます。

経産省確報のデータを使い、もう少し長い期間でみてみましょう。下図は2018年の各月を100として、同じ月の前年同月比を順番に掛けあわせていったものです。金額のグラフとは異なり、どの月も右肩下がりであることが解ります。

図中青字は2022年における累積値、黒字が2023年における累積値です。今年になってから累積値は9月を除きすべて80台です。2018年比べて数量が大きく減少していることは明らかです。また2022年と2023年との比較でも、2023年が2022年を上回っているのは5月、7月、10月の3か月しかなく減少傾向に歯止めがかかっていません。10月は珍しく2022年よりも大きく回復しました。とは言え累積値は85.9に過ぎません。

もう少し別な角度からデータを見ていきましょう。下図は日塗工の経産省確報データからグラフを描きなおしていますが、純出荷の数量はここまでの月平均(左図)で見ると2018年の86%と言う結果です。また右図の年別の純出荷数量の比較では、2023年の数量は1~3月ではコロナ禍(2020年~2022)よりも低調であり、4~6月でも2020年をこそ上回っていますが、下から2番目です。それ以降もコロナ禍の頃と同じようなレベルであり、ようやく上向いた10月でも2020年を下回っている状況です。すなわち、数量的には依然減少傾向に歯止めがかからない状況であるということです。  

CO2問題に対する意識と関心の高まり、環境圧力の増大は、塗着効率の向上への圧力となり、それはまさしく塗料使用量減少を意味します。売上金額が回復したのは原材料価格高騰によってやむなく製品の値上を行ったためであり、将来的には、さらに数量減少への圧力が高まるであろうと予見されます。残念ながら、現在の金額回復は、将来における継続的塗料使用を予見させるものではありません。

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