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かんとこうブログ

2024.04.23

円安が株価と物価におよぼす影響

昨日は為替と経常収支の関係について書きました。為替の変動と経常収支には直接の関係はなさそうだと書きましたが、株価と物価には影響しそうだと思いましたので、すこし自分なりに考えてみたことをご紹介したいと思います。データはすべて世界経済のネタ帳からいただいて計算、作図しております。

最初は株価と為替の関係です。以前に為替(円ドルレート)と日経平均の関係についてグラフ化すると株価上昇下降の時期が為替の変動と妙に一致した記憶がありましたので今回も同じことをやってみました。1988年から2023年までにおける為替(1$の円換算値)と株価(日経平均)の年平均値の推移です。(2024年は1月から3月までの平均値)

細かいところは一致しないところもありますが、大まかには動きはで連動しているように見えます。投資のかなりの部分を海外投資家に依存しており、円安が海外投資家の投資意欲を誘うのであれば、こうした結果は頷けます。ただし散布図を描いてR2乗値を計算してみると有意に相関があるとはとても言えない数値でした。

次に物価について、主に輸入品に関して考えてみました。具体的には国内へ輸入されるであろう物資の価格の推移をUS$の場合とそれを当該月のレートで換算した場合とで比較したらどうなるかを調べてみました。2021年1月から2024年3月までの為替レートは以下のようにほぼ一方的に円安傾向が継続していました。

日本がその多くを輸入しているであろう品目について同じく2021年1月から2023年3月までの国際価格(US$)とそれを当該月の為替レートで円換算したものの推移を比べてみました。エネルギー資源から図示します。図中の数字は2021年1月を100とした場合の、2024年3月またはこの間のピーク価格時の指数値を示しており、青字がUS$、赤字が日本円の指数値です。

原油についてみると、この間US$は50%上がってUS$での指数値が150になりましたが、円換算した場合には117%上がって217になりました。ピークは2022年の6月でしたが、この時の指数値はUS$で264でしたが、円換算では364でした。このようにいずれの場合も円換算するとUS$での価格の変動を大きく上回る数値になりました。これはこの間継続的に円安になっていたためです。天然ガスも石炭もいずれも2024年3月の指数値はUS$では150程度ですが円換算では220前後になります。円換算すると価格の上昇が1.5倍程度増幅されています。

次は食料品です。

小麦については、2024年3月のUS$価格は、2021年1月の価格を下回っているにもかかわらず円換算では指数値が137となってしまいます。いずれの場合も指数値がほぼ1.5倍になるのでこのようなことが起きます。

最後にアルミニウムと木材の価格です。

木材などはUS$価格はこの間下がっているのに、円換算では上昇一途です。これは為替の影響によりこうした現象が起きているのです。ここまで示したのは机上の計算であり、実際の価格がこの通りにはなっていないでしょう。しかし、計算上は円安によって輸入品価格はこれほど上昇しても不思議ではないということを示したかったのです。

コーヒーの値段が上がったということも良く耳にしましたが、US$価格でこれほど上がっていては、円価格ではもっと上がっても不思議ではありません。消費者の立場からみれば行き過ぎた円安は何とか戻してほしいところです。

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