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かんとこうブログ

2024.04.24

円安の影響を計算してみました

昨日、一昨日と為替、円安関連の事項を書いてきたのですが、何だかしっくりきません。テレビなどでは円安の影響は世帯あたいくらとか紹介していますが、詳しい計算条件などはもちろん提示されませんので、その信憑性はわかりません。そこで自分なりに計算してみようと思いました。と言っても素人にできることはそうありません。とりあえず経常収支のひとつずつについて決済通貨も含めてシミュレーションしてみようと思いました。

この表は2022年の経常収支の表です。(現時点で最新です)経常収支の内訳は、上から貿易収支の輸出入(物の売買)、サービス(特許使用料、旅行など)、第1次所得収支(配当、利子など)、第2次所得収支(消費財の援助)、資本移転収支(資本財の援助)で、これらの合計が経常収支になります。日本からお金が出ていくものをマイナス(赤字)、お金がはいってくるものををプラス(黒字)としています。

これらのお金の出入りがどのような通貨なのかも大事なポイントですが、これについては貿易収支以外は情報を見つけられませんでした。貿易収支については、輸出入それぞれに通貨別内訳が公表されていますが、日本円以外はUS$、€がほとんどを占めており、基本的にどの通貨も円に対してはUS$と連動して変化しているので、すべてUS$と仮定して計算することにしました。第二次所得収支と所得移転収支は日本からの援助なのですべて日本円としました。

貿易収支のサービスがマイナスなのは特許権使用料の支払いが大きいためで、話題になっているインバウンドの金額としては約5兆円あるそうですが、目に見える形では出てきていません。このほか政府が所有している外貨準備高も経常収支には入りませんが、金額としては1兆2918億$(令和6年1月現在)もあります。(この為替差益はとても大きく30~40兆円はあると言われています)

さて上表の外貨決算額欄を見ると、経常収支に関係する外貨の金額がわかりました。が、各費目の合計である経常収支がプラスですので、これをどう円安条件で計算しても増えるだけで、国民の負担が増える方向にはいきません。しかし、実際に国民の生活に関係するのは輸入品価格ですので、輸入金額がどれだけ増えるかを計算することにしました。

2022年の年平均の円ドルレートは1US$=131.5円でした。ここから円安方向へ10円/$、20円/$変化した時に輸入金額がどう動くかを見てみました。すると10円安(1$=141.5円)の時に6兆9890億円/年の増加、20円安(1$=151.5円)の時に13兆9790億円/年の増加となりました。これを国民一人当たりで割ると10円安で約5万8000円/年、20円安で約11万6000円/年の増加になります。

もちろんこれは過大な見積もりになるでしょうが、輸入品のうちエネルギー資源(石油、ガス、石炭)と食料品だけで約1/3を占めますので、エネルギー資源と食料品だけに限ってもひとりあたり10円安で約1万9000円/年、20円安で約3万9000円/年ほどになります。

これが計算結果ですが、どうも肌感覚にはあわない気がします。円安の影響はそんなものではなさそうに思うのですが・・

一方第一次所得収支の方は20円安で5兆3300億円増えます。現在のレートは1$=150円を大幅に超えていますので、このままの数字であればこれよりも多くの配当や利子が得られていることになりますが、これは大企業や大富豪の話であって庶民にはほとんど関係がありません。しかも大企業の場合には、こうした海外からの利益を日本にもってこずに現地で投資するケースが多いとも聞いていますので、これらが国内で還元されることもないようです。

こうして色々見てきましたが、なんだかすっきりしません。そこで明日はもう一日、今の日本のどこが問題なのか?考えてみたいと思います。

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