かんとこうブログ
2024.09.10
日本全体の資産はいくらあるのか?
最近国会中継の録画をネットでよく見ておりますが、その中に日本に資産についての議論についての動画がありました。立憲民主党の江田憲司議員に質問に対し、財務省が答弁しているもので、2022年末で日本国の金融資産はなんと9704兆円と答えています。9704億円ではありません。その1万倍の9704兆円あるというのです。国の借金が1000兆円以上あると何度も聞かされてきましたが、日本全体で資産が1京円(1兆円の1万倍)もあるとは初めて知りました。
今日は内閣府から公開されている資料(下記接続先)で日本の資産について調べたことをご紹介します。
2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計(ストック編)ポイント (cao.go.jp) |
もちろん資産だけではなく負債も存在します。そして資産と負債の差である正味残高と言われるものも掲載されています。平成6年以降の非金融資産、金融資産、負債と正味資産(これを国富と言うそうです)の推移を下図に示します。
図の文字が小さくで読めないかもしれませんが、この図において金融資産と負債が年々増加していることはわかると思います。そしれ令和4年(末)の数値では、非金融資産が3,577兆円、金融資産が9,072兆円、負債が8,650兆円で、非金融資産と金融資産の合計から負債を差し引いた正味資産(国富)は3,999兆円で過去最高となっています。
内閣府の資料ではこの図について以下のように説明されています。
読んでいただいた通り、資産も負債も正味資産(国富)もすべて増加していると説明されています。とりあえず国全体の資産は傾向として増えているようです。
それではこの正味資産の推移はどうなっているのでしょう?これも平成6年以降の推移をその説明とともに下図に示します。
正味資産は、平成9年(1997年)をピークに一旦は減少に転じますが、平成17年(2005年)に増加に転じた後、平成20年(2008年)に再び減少を始め、平成23年(2011年)を底にして以降は増加が続いています。内訳は細かく増減があるのですが、固定資産は2年連続で、非生産資産のうちの土地は9年連続で、対外純資産は5年連続でそれぞれ増加中です。
これらの莫大な資産は一体だれが保有しているのでしょうか?家計、非金融法人、金融機関、一般政府に分けて(これを制度部門別というそうです)下図に示されています。
なんと家計が最も多くの正味資産を保有しています。国全体の半分以上の正味資産を家計が占めています。続いて一般政府、非金融法人企業、金融機関の順になっています。仮に令和4年末の家計の正味資産を国民ひとりあたりで換算してみます。家計全体の正味資産は2,854兆円ですので、これを1億2000万人で割ると、ひとりあたり2,400万円弱の資産があることになります。実感がわきません。そこで次に家計の資産の内訳を見てみましょう。
資産は非金融資産と金融資産と分けて表示されています。非金融資産は減少傾向、金融資産は増加傾向にあり、令和4年末で非金融資産は1,025兆円、金融資産は2,030兆円となっています。これもひとりあたりに換算すると、非金融資産が800万円超、金融資産が1,700万円弱になります。この図には書かれていませんが、負債も381兆円あり、ひとりあたり300万円強の金額になります。
最後に対外資産と負債について示します。対外資産と負債の差が対外純資産となるのですが、この対外純資産は国全体の正味資産(国富)を計算する上で大変重要な数値になります。なぜならば、正味資産=非金融資産+対外純資産であるからです。すなわち、国の正味資産は非金融資産と対外純資産だけで決まるからです。この理由は国全体の資産を計算する際に、国内の制度部門間で保有している資産と負債が相殺されるからと説明されています。国の借金も国単位でみれば、そのほとんどが相殺されてしまいます。
日本の対外純資産は令和4年末で422兆円であり、この対外純資産額は世界一です。
ここでもう一度、今日ご紹介した令和4年末の日本の資産に関する数字をまとめます。(国会答弁の数値と若干異なりますが、暦年と会計年度の差かもしれません)
日本の正味資産(国富)3,999兆円、内訳は非金融資産3577兆円、金融資産が9072兆円で資産合計は、1京2649兆円、負債が8650兆円です。
正味資産の制度部門別内訳は、個人企業を含む家計が2854兆円、非金融法人企業が756兆円、金融機関92兆円、一般政府177兆円となっています。(ん?一般政府も債務超過ではない?)それから対外純資産は422兆円で世界一だそうです。
こんな数字を見ていると政府の借金などは大したことはないような気になります。本当のところはどうなのでしょうか?明日は、国富にとって重要な対外純資産について財務省のデータをご紹介します。