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かんとこうブログ

2025.01.24

影響が測り知れない!?アメリカのパリ協定離脱

周知のようにアメリカのトランプ大統領が就任初日に、社会的、経済的に大きな影響を与えるであろう40にもおよぶ大統領令にサインをしました。メキシコ、カナダに対する25%関税もさることながら、世界にとってはパリ協定の離脱の方がもっと大きな影響が心配されます。今日はこの問題について調べたことをご紹介します。

まず調べたのは、前回トランプ大統領1期目にパリ協定を離脱した時にCO2排出量がどう変化したか?でした。アメリカのCO2排出量について新しいデータがなく二つのグラフを繋いでみました。左図は1960年から2019年、右図は2014年から2022年までの米国の排出量推移です。(データはGTC統計さんとGlobal Noteさんからお借りしました)

2007年が排出量のピークであり、以降山谷はありますが、長期的にみれば減少傾向が続いています。「トランプ政権でも排出量は減っていたのか?」と思ったのも束の間、実は前回の離脱は、極めて短い期間であったことがわかりました。

前回の離脱は、2017年 トランプ政権による協定からの離脱表明こそ就任まもなくでしたが、正式に離脱したのは3年以上たった2020年11月4日であり、そのわずか3か月後の2021年2月にはバイデン政権によりパリ協定に復帰しています。これでは実質的に大きな変化が起こりえないほど短期間だったわけです。今回の正式離脱がいつになるかわかりませんが、離脱が長期間に及べば世界のCO2削減に大きな影響がでることが避けられないと思われます。
   
バイデン政権下でアメリカは下に示す削減目標を掲げていました。言わば世界に歩調を合わせ2050年にはカーボンニュートラルを実現するためのロードマップを描いていたわけです。(環境省ホームページから引用)
   

   

2023年のアメリカのCO2排出量は、4.64Mtと2030年に目標である3.664Mtも射程に捉えた数値になっていました。ここから「掘って、掘って、掘りまくれ」のトランプ政権に代わってしまったのです。世界全体から見て、アメリカはCO2排出量世界2位であり、世界全体の13.2%を占めています。(下図)

   

   

  

幸か不幸かシェールガス革命により、アメリカは石油も天然ガスも埋蔵量が世界一とも言われるようになりました。自国の化石資源を掘りまくり、エネルギーコストを下げようという考えが出てきても不思議ではない面もあります。(参考までに一人あたりCO2排出量の上位国はそろって化石燃料産出国です、上右図)

   

しかしそのことにより世界の気候変動が取返しのつかないことになることの責任はどう取ってくれるのでしょう。100年後の人たちから、歴史的な犯罪者と名指しされるかもしれないとは思わないのでしょうか?学術的にも認められているCO2排出による気候変動をいまだにフェイクと呼ぶ人間を大統領に選んだ人々も同様です。未来の人たちから愚かな国民と非難されるとは思わないのでしょうか?

   

つい先日、年間平均気温の上昇が産業革命から従来の目標値である1.5℃を超えたと報じられました。さらにアメリカの離脱によって、目標達成はますます不可能になりつつあると感じます。深く深く憂慮します。アメリカ人の良識に期待することはできないものでしょうか?

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