かんとこうブログ
2026.04.14
トルエン、キシレンは誰が生産しているのか?
トルエン、キシレンが入手困難になっています。塗料で最も多く使用される溶剤のうちの代表的なものですが、これまでどこでどのように作られるのか考えたこともありませんでした。このたび石油化学工業会および石油連盟のホームページを見ておおよその製造元がわかりましたので、ご紹介したいと思います。
実際の出荷数量については統計が見当たりません。経産省確報のトルエン、キシレンの出荷数量はそれぞれ2025年度の月平均でトルエン66.3万トン、キシレン152.9万トンです。石油化学工業会のトルエン、キシレンの各社生産能力の一覧表がありましたので、グラフとともにご紹介します。

生産能力の合計はトルエン184万トン、キシレン645万トンと確報の出荷数量の3倍もしくは4倍という非常に大きな数値でした。確報の数値はあくまで出荷数量ですので、トルエン、キシレンを原料として自社内で他の物質に転換した場合には、確報数値に含まれません。おそらくそうした自社消費が多いのではないかと推定しています。
生産能力の上位にならぶのは圧倒的に石油精製会社です。そして規模の小さい方は石油化学会社が並んでおり、見事に別れています。製油所は現在19か所あり、上表と会社名を見くらべるとほとんどの製油所がカバーされます。ということはほぼすべての製油所でキシレンが生産さされている、少なくとも能力があると推定されます。

実際会社ごとの原油精製能力とキシレン生産能力はよい関係にあります。(下表、下図)

一方キャパシティは大きくないものの、石油化学会社も生産能力の表に載っていますので、こちらは石油化学工業会のホームページから調べてみました。化学コンビナートの製品フローが載っていましたので、塗料の原材料となるものを拾い集めてみました。
着色してあるのは溶剤、着色していないのは樹脂原料です。黄色がトルエンとキシレン、オレンジ色がその他の溶剤です。これらを溶剤種別に整理しますと下表にようになります。

塗料用に使用されるトルエン、キシレンが誰によって生産されたものかについては、全く知りえる立場にはありませんが、生産能力あるいは出荷数量から類推して塗料用は数量が小さいため主たる用途でもなく,従って優先度も低い存在であろうと推定されます。ではありますが、塗料が非常に多くの産業用途に使用されていることに鑑み、塗料の方にもぜひ融通していただけないかと切に思う次第です。